【連結会計の学習ナビ ②/③】 このドリルは連結会計の第2段階「成果連結」です。①資本連結を終えた前提で、グループ内部の取引(売上・債権債務・手形・貸倒引当金)の相殺と、期末商品や土地に含まれる未実現利益の消去(当年度分)を学びます。ダウンストリーム(親→子)とアップストリーム(子→親・非支配株主へ按分)の違いが最大の山場です。なお期首商品の未実現利益は連結2年目の論点なので③で扱います。次は③開始仕訳(連結2年目)へ進みましょう。
次の仕訳問題を解いてみてください。
問題1: P社は当期において子会社であるS社に商品800,000円を販売した。この内部取引を相殺消去する連結修正仕訳を示しなさい。
📊 図でイメージする
① 同じ取引の裏表
P社売上高 800,000円
⇔
同じ商品の売買
S社売上原価(仕入)800,000円
グループ全体で見れば内部での移動にすぎません。外部との取引ではないので、売上高も売上原価もなかったことにして消します。
② なぜこの貸借?
売上高は収益(貸方に計上済み)→ 消すには借方
売上原価は費用(借方に計上済み)→ 消すには貸方
連結修正仕訳:(借)売上高 800,000 /(貸)売上原価 800,000
問題2: 決算日現在、P社の売掛金のうち300,000円は子会社であるS社に対するものである。この債権債務を相殺消去する連結修正仕訳を示しなさい。
📊 図でイメージする
① 同じ債権・債務(表と裏)
P社売掛金 300,000円(債権)
⇔
同一のもの
S社買掛金 300,000円(債務)
グループ内部での貸し借りは、外部に対する債権・債務ではありません。連結上は存在しないものとして相殺します。
② なぜこの貸借?
債務(買掛金)を消す→借方/債権(売掛金)を消す→貸方
連結修正仕訳:(借)買掛金 300,000 /(貸)売掛金 300,000
問題3: P社は子会社であるS社に500,000円を貸し付けており、当期の利息15,000円を受け取っている。貸付金・借入金と利息の相殺消去の連結修正仕訳を示しなさい。
📊 図でイメージする
① 元本と利息、どちらも内部
P社貸付金 500,000円受取利息 15,000円
⇔
S社借入金 500,000円支払利息 15,000円
元本(B/S)だけでなく、利息(P/L)もグループ内部の取引です。両方をセットで相殺するのがポイント。B/Sだけ消してP/Lを忘れやすいので注意。
② なぜこの貸借?
借入金(負債)・受取利息(収益)を消す→借方
貸付金(資産)・支払利息(費用)を消す→貸方
連結修正仕訳:(借)借入金 500,000・受取利息 15,000 /(貸)貸付金 500,000・支払利息 15,000
問題4: 決算日現在、P社はS社(P社の子会社)振出しの約束手形200,000円を保有している。この連結修正仕訳を示しなさい。
📊 図でイメージする
① 身内で振り出した手形
S社支払手形 200,000円
⇔
同一の手形
P社受取手形 200,000円
グループ内部で振り出された手形なので相殺します。
※応用:P社がこの手形を銀行で割り引いていた場合は、連結上「借入金」に振り替えます。
② なぜこの貸借?
支払手形(負債)を消す→借方/受取手形(資産)を消す→貸方
連結修正仕訳:(借)支払手形 200,000 /(貸)受取手形 200,000
問題5: P社はS社(P社の子会社)に対する売掛金300,000円に2%の貸倒引当金を設定している(差額補充法・当期に繰入れ)。売掛金の相殺消去に伴う貸倒引当金の修正仕訳を示しなさい。
📊 図でイメージする
① 売掛金が消えたら、その引当金も不要
S社向け売掛金300,000円 → 消去(問2)
→
貸倒引当金300,000×2%=6,000円
も不要に
問2でS社向け売掛金を相殺消去したので、それに備えて設定していた貸倒引当金6,000円も要らなくなります。連結上は貸倒れの心配がない「身内」への債権だったからです。
② なぜこの貸借?
貸倒引当金(資産のマイナス)を戻す→借方
設定時の費用(貸倒引当金繰入)を取り消す→貸方
連結修正仕訳:(借)貸倒引当金 6,000 /(貸)貸倒引当金繰入 6,000
問題6: P社は子会社であるS社に利益率20%で商品を販売している。S社の期末商品棚卸高のうち250,000円はP社から仕入れたものである。未実現利益を消去する連結修正仕訳を示しなさい(ダウンストリーム)。
📊 図でイメージする(クリックで開く)
① 取引の流れ
→ 250,000円で販売 →
利益 50,000円
→ ✕ →
外部へ未販売
外部
② グループ全体で見ると:外部への売上は0 → 本当の利益は 0円。
なのに個別帳簿を合算すると、存在しない利益 50,000円 と 水増し在庫 50,000円 が残ってしまう。
③ 連結修正で在庫を本来の値に戻す
商品 250,000円
水増し後
− 50,000円
未実現利益を消去
商品 200,000円
本来の原価
④ なぜ「借方・売上原価」になるの?
売上原価 = 期首商品 + 当期仕入 − 期末商品
③で 期末商品を 50,000 減らす
▼
「引く数」である期末商品が減ると … 売上原価は 50,000 増える
▼
売上原価は費用。費用の増加は 借方 に記入する
相手科目は、資産である「商品」が 50,000 減る → だから 貸方 に商品
連結修正仕訳:(借)売上原価 50,000 /(貸)商品 50,000
問題7: S社(P社が発行済株式の80%を保有する子会社)はP社に商品を販売している。P社の期末商品棚卸高にはS社から仕入れた商品に含まれる未実現利益40,000円がある。未実現利益の消去と非支配株主持分への按分の連結修正仕訳を示しなさい(アップストリーム)。
📊 図でイメージする
① 取引の向き(アップストリーム=子→親)
S社(売り手)P社80%・非支配株主20%
→ 販売 →
未実現利益 40,000円
P社期末在庫に含む
② まず未実現利益を全額消去
(借)売上原価 40,000 /(貸)商品 40,000
③ ここがダウンストリームとの違い:売り手はS社(子会社)。その利益はS社のものなので、S社の20%を持つ非支配株主にも負担させます。消した利益40,000円 × 20% = 8,000円。
消去した利益40,000円
× 20%
非支配株主分
8,000円を按分
(借)非支配株主持分 8,000 /(貸)非支配株主に帰属する当期純利益 8,000
ダウンストリーム(親→子)は全額親会社負担で②だけ。アップストリーム(子→親)は③の按分が加わる、と対で覚えましょう。
問題8: P社は当期において、帳簿価額400,000円の土地を450,000円で子会社であるS社に売却した。S社は決算日現在この土地を保有している。未実現利益を消去する連結修正仕訳を示しなさい(ダウンストリーム)。
📊 図でイメージする
① 取引の流れ
P社帳簿価額 400,000円
→ 450,000円で売却 →
売却益 50,000円
S社土地 450,000円を保有
→ ✕ →
外部へ未売却
外部
② グループ全体では身内で土地を移しただけ。外部へ売るまで、この売却益50,000円は未実現です。
③ 連結修正で土地を元に戻す
土地 450,000円売却後
− 50,000円
売却益を消去
土地 400,000円本来の帳簿価額
④ なぜこの貸借?
固定資産売却益は収益→ 消すには借方
土地(資産)の水増し分を減らす→貸方
連結修正仕訳:(借)固定資産売却益 50,000 /(貸)土地 50,000