簿記3級 精算表の書き方・解き方|手順・具体例・練習問題

簿記3級の第3問で出題される「精算表」は、決算の流れを1枚の表にまとめたものです。慣れるまでは難しく感じますが、手順を決めて、1つずつ進めれば、ミスなく解けるようになります。この記事では、精算表の仕組みと解き方を、小さな具体例を使って説明します。

精算表とは

精算表は、決算整理前の「試算表」に、決算整理の仕訳(修正記入)を加えて、損益計算書と貸借対照表に載せる金額を、1つの表で求めるものです。表は、次の4つの欄に分かれています。

  • 試算表:決算整理前の残高(問題で与えられます)
  • 修正記入:決算整理事項の仕訳を、借方・貸方に分けて記入します
  • 損益計算書:収益と費用の最終的な金額
  • 貸借対照表:資産・負債・純資産の最終的な金額

精算表の解き方【5ステップ】

  1. 決算整理事項を、1つずつ仕訳にする。まず、問題の余白などに、決算整理仕訳を書き出します。
  2. 仕訳を、修正記入欄に書き込む。仕訳の借方は修正記入の借方欄、貸方は貸方欄に、該当する勘定科目の行へ記入します。表にない勘定科目(貸倒引当金繰入、減価償却費、前払保険料など)は、空いている行に書き足します。
  3. 「試算表+修正記入」を計算する。各勘定科目の残高を、借方・貸方で足し引きして求めます(借方残高なら借方、貸方残高なら貸方)。
  4. 金額を、損益計算書欄と貸借対照表欄に移す。収益・費用の勘定は損益計算書へ、資産・負債・純資産の勘定は貸借対照表へ移します。
  5. 当期純利益(または当期純損失)を求めて、貸借を一致させる。損益計算書の借方と貸方の差額が、当期純利益(または当期純損失)です。同じ金額を、貸借対照表の反対側にも記入すると、貸借が一致します。

具体例で確認してみよう

次の決算整理事項がある場合を考えます(決算日は12月31日)。

  1. 売掛金の期末残高500,000円に対して、2%の貸倒引当金を、差額補充法により設定する。
  2. 備品(取得原価600,000円)について、耐用年数5年、残存価額ゼロ、定額法・間接法により減価償却を行う。
  3. 期末商品棚卸高は90,000円である。売上原価は「仕入」勘定で計算する(期首商品棚卸高は80,000円)。
  4. 保険料60,000円は、10月1日に1年分を支払ったものである。未経過分を、月割りで繰り延べる。

ステップ1:決算整理仕訳を書き出す

  1. 貸倒引当金:必要額は500,000円×2%=10,000円です。試算表に貸倒引当金が5,000円あるので、差額の5,000円を繰り入れます。
    (借)貸倒引当金繰入 5,000/(貸)貸倒引当金 5,000
  2. 減価償却:600,000円÷5年=120,000円です。
    (借)減価償却費 120,000/(貸)備品減価償却累計額 120,000
  3. 売上原価:期首商品を仕入に振り替え、期末商品を仕入から繰越商品に振り替えます。
    (借)仕入 80,000/(貸)繰越商品 80,000
    (借)繰越商品 90,000/(貸)仕入 90,000
  4. 保険料の前払い:10月1日から12月31日までの3か月分は当期の費用で、残りの9か月分が前払いです。60,000円×9か月÷12か月=45,000円です。
    (借)前払保険料 45,000/(貸)保険料 45,000

ステップ2〜5:精算表に記入する

仕訳を修正記入欄に記入し、残高を計算して、損益計算書欄と貸借対照表欄に移すと、次のようになります(単位:円)。

勘定科目 試算表 修正記入 損益計算書 貸借対照表
借方貸方 借方貸方 借方貸方 借方貸方
現金120,000120,000
売掛金500,000500,000
繰越商品80,00090,00080,00090,000
備品600,000600,000
買掛金200,000200,000
貸倒引当金5,0005,00010,000
備品減価償却累計額120,000120,000240,000
資本金800,000800,000
売上1,285,0001,285,000
仕入900,00080,00090,000890,000
給料150,000150,000
保険料60,00045,00015,000
貸倒引当金繰入5,0005,000
減価償却費120,000120,000
前払保険料45,00045,000
当期純利益105,000105,000
合計2,410,0002,410,000340,000340,0001,285,0001,285,0001,355,0001,355,000

損益計算書は、貸方(収益)1,285,000円が、借方(費用)1,180,000円より105,000円多いので、差額の105,000円が当期純利益です。これを損益計算書の借方に記入し、貸借対照表の貸方にも同額を記入すると、どちらも貸借が一致します。

よく出る決算整理事項と仕訳の型

精算表で問われる決算整理事項は、ほぼ決まった論点です。仕訳の型を覚えておくと、速く正確に解けます。

論点仕訳の型
貸倒引当金(差額補充法)(借)貸倒引当金繰入/(貸)貸倒引当金 ※必要額と、残高の差額だけ
売上原価の計算(借)仕入/(貸)繰越商品(期首)、(借)繰越商品/(貸)仕入(期末)
減価償却(間接法)(借)減価償却費/(貸)減価償却累計額
現金過不足原因判明分は該当する勘定へ、不明分は雑損(不足)・雑益(超過)へ振り替え
費用の前払い(前払費用)(借)前払○○/(貸)○○(費用の勘定)
費用の未払い(未払費用)(借)○○(費用の勘定)/(貸)未払○○
収益の前受け(前受収益)(借)受取○○(収益の勘定)/(貸)前受○○
収益の未収(未収収益)(借)未収○○/(貸)受取○○(収益の勘定)
未使用の切手・収入印紙(借)貯蔵品/(貸)通信費・租税公課
消費税の整理(税抜方式)(借)仮受消費税/(貸)仮払消費税・未払消費税

それぞれの論点を、仕訳の問題でくわしく練習したい方は、3級仕訳ドリルの決算整理仕訳1〜3も、あわせてご利用ください。

ミスしやすいポイント

  • 貸倒引当金は、「差額」だけを繰り入れる。必要額の全額を繰り入れると、試算表にすでにある残高の分、多くなります。
  • 減価償却累計額は、貸方に記入する。貸借対照表では、資産のマイナスとして扱います。
  • 売上原価の計算は、仕訳が2つある。期首商品の振り替えと、期末商品の振り替えの両方が必要です。
  • 前払いと未払いの向きを間違えない。前払費用は資産(借方)、未払費用は負債(貸方)です。
  • 費用の勘定を減らすときは、貸方に記入する。保険料の前払いなどは、保険料(費用)を貸方に記入して、減らします。
  • 移す欄を間違えない。収益・費用は損益計算書へ、資産・負債・純資産は貸借対照表へ移します。

検算のコツ

  1. 試算表の借方合計と貸方合計が一致しているか。
  2. 修正記入の借方合計と貸方合計が一致しているか。
  3. 損益計算書の差額(当期純利益)と、貸借対照表の差額が、同じ金額になっているか。

このうち、1つでも合わなければ、どこかに転記ミスや仕訳ミスがあります。落ち着いて、決算整理事項に戻って確認しましょう。

練習問題で、解き方を身につけよう

精算表は、手順を覚えたあとに、何度も解いて慣れるのが近道です。当サイトでは、採点機能とヒントつきの練習問題を公開しています。

精算表に慣れたら、貸借対照表・損益計算書の作成問題にも挑戦してみてください。第3問の全体の対策は、3級第3問対策のページにまとめています。

第3問全体の出題パターンや、時間配分、勉強の進め方は、簿記3級 第3問の対策で解説しています。