簿記3級の試験で、合否を分けやすいのが第3問です。配点が大きく、決算の知識を総合的に使うため、苦手意識を持つ方が多い問題です。この記事では、第3問の出題パターン、時間配分、勉強の進め方、点数を安定させるコツを、順番に説明します。
なお、試験の出題形式や配点は、改定されることがあります。最新の情報は、日本商工会議所の公式サイトで確認してください。
第3問とは
簿記3級の試験(制限時間60分、100点満点、70点以上で合格)は、現在、次の3つの大問で構成されています。
- 第1問:仕訳問題(45点)
- 第2問:勘定記入、補助簿、伝票、商品有高帳などの帳簿の問題(20点)
- 第3問:決算に関する問題(35点)
第3問は、決算整理を行ったうえで、表や財務諸表を作成する問題です。配点は35点と、第1問に次いで大きく、ここで得点できるかどうかが、合格を大きく左右します。
第3問の出題パターン
第3問では、主に次のような形式で出題されます。
パターン1:精算表の作成
決算整理前の試算表と、決算整理事項から、精算表の空欄を埋める問題です。修正記入、損益計算書、貸借対照表の各欄の金額を答えます。精算表の解き方は、簿記3級 精算表の書き方・解き方で、くわしく説明しています。
パターン2:貸借対照表・損益計算書の作成
決算整理前の残高試算表と、決算整理事項から、貸借対照表と損益計算書の空欄を埋める問題です。金額だけでなく、「前払費用」「前受収益」などの勘定科目名を答える問題もあります。
パターン3:決算整理後残高試算表の作成など
決算整理を行ったあとの残高を、試算表の形で答える問題や、決算整理仕訳を答える問題が出ることもあります。
どの形式でも、土台になるのは決算整理仕訳です。形式が違っても、決算整理事項から仕訳ができれば、落ち着いて解けます。
頻出の決算整理事項と、仕訳の練習
決算整理事項は、現金過不足、貸倒引当金、売上原価、減価償却、経過勘定(前払い・未払い・前受け・未収)、貯蔵品、消費税、法人税等など、ある程度決まった論点から出題されます。それぞれの仕訳の型は、精算表の記事の一覧表にまとめています。仕訳そのものを繰り返し練習したい方は、次の仕訳ドリルをご利用ください。
- 決算整理仕訳1:現金過不足、貯蔵品、貸倒引当金
- 決算整理仕訳2:減価償却、期首商品、消費税
- 決算整理仕訳3:前払費用、未収収益、前受収益、未払費用、法人税等
- 損益・繰越利益剰余金:決算の最後の振り替え
精算表から、財務諸表へ
精算表で求めた金額は、そのまま貸借対照表と損益計算書の金額になります。精算表の記事の具体例の結果を、財務諸表の形にしてみましょう(単位:円)。
| 売上高 | 1,285,000 |
| 売上原価(期首80,000+仕入900,000-期末90,000) | 890,000 |
| 売上総利益 | 395,000 |
| 給料 | 150,000 |
| 保険料 | 15,000 |
| 貸倒引当金繰入 | 5,000 |
| 減価償却費 | 120,000 |
| 当期純利益 | 105,000 |
| 資産 | 金額 | 負債・純資産 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 120,000 | 買掛金 | 200,000 |
| 売掛金(500,000-貸倒引当金10,000) | 490,000 | 資本金 | 800,000 |
| 商品 | 90,000 | 繰越利益剰余金(当期純利益) | 105,000 |
| 前払費用 | 45,000 | ||
| 備品(600,000-減価償却累計額240,000) | 360,000 | ||
| 資産合計 | 1,105,000 | 負債・純資産合計 | 1,105,000 |
ポイントは3つです。
- 貸倒引当金と減価償却累計額は、貸借対照表で、資産(売掛金・備品)から差し引いて表示します。
- 繰越利益剰余金には、損益計算書で求めた当期純利益を加えます(この例では、期首の繰越利益剰余金がない場合を想定しています)。
- 最後に、資産合計と、負債・純資産合計が一致することを確認します。
こうした財務諸表の作成は、貸借対照表・損益計算書作成問題で練習できます。
時間配分の目安
制限時間は60分です。あくまで目安ですが、次のように配分すると、第3問に落ち着いて取り組めます。
- 第1問(仕訳):15分前後
- 第2問(帳簿など):15分前後
- 第3問(決算):25分前後
- 見直し:5分前後
第1問・第2問を、速く正確に解けるようになると、第3問に使える時間が増えます。決算整理仕訳の練習が、そのまま時間の短縮につながります。
勉強の進め方【5ステップ】
- 決算整理仕訳を覚える。貸倒引当金、減価償却、売上原価、経過勘定など、頻出の仕訳の「型」を、仕訳ドリルで繰り返し練習します。
- 精算表を解く。仕訳ができるようになったら、精算表で、仕訳を表に転記する練習をします。精算表作成①から、順に進めてください。
- 貸借対照表・損益計算書を作る。精算表に慣れたら、財務諸表の形式の問題にも取り組みます。
- 間違えた問題を、見直す。どの決算整理事項で間違えたのかをメモしておくと、弱点が見えてきます。
- 時間を計って解く。最後に、25分前後を目安に、実戦形式で解いてみます。
点数を安定させるコツ
決算整理事項を仕訳にして、表に記入する基本の手順は、精算表の記事で説明しています。ここでは、試験本番で、得点を安定させるためのコツを挙げます。
- 計算は、余白で行う。月割計算や、貸倒引当金の差額の計算は、式を書いて確認します。頭の中だけで計算すると、ケアレスミスが増えます。
- 分からない項目は、後回しにする。1つの項目で止まらず、解ける項目から埋めていきます。時間が余ったら、戻って考えます。
- 最後に、貸借の一致を確認する。貸借対照表の問題なら、資産合計と、負債・純資産の合計が一致するかを見ます。精算表の場合の検算の手順は、精算表の記事で説明しています。
- 部分点を意識する。すべて解けなくても、決算整理仕訳が正しくできている項目は、確実に得点します。1問に固執せず、取れる点を、取りこぼさないようにします。
当サイトの第3問対策の問題
当サイトでは、第3問の練習問題を、採点機能とヒントつきで公開しています。
まとめ
第3問は、決算整理仕訳を正確にできるかが、すべての土台です。仕訳の型を覚え、精算表と財務諸表で、転記と集計の手順に慣れれば、安定して得点できるようになります。焦らず、段階を踏んで、練習を重ねてください。
