「簿記3級に、独学で合格したい。でも、何から始めればいいのかわからない」という方は、多いのではないでしょうか。簿記3級は、基本を順番に押さえれば、独学でも合格を目指せる試験です。この記事では、試験の概要と配点を確認したうえで、合格までの勉強の流れ、4週間の学習スケジュールの例、本試験の時間配分、独学で伸びるコツを説明します。
簿記3級の試験の概要
日商簿記3級は、日本商工会議所が実施する検定試験で、小規模な会社の経理に必要な、基本的な商業簿記を問うものです。試験の概要は、次のとおりです(2026年度の情報です)。
| 試験時間 | 60分 |
|---|---|
| 出題 | 商業簿記 3題以内 |
| 合格基準 | 100点満点中、70点以上 |
| 受験料 | 3,300円(税込) |
| 試験方式 | 統一試験(年3回)と、ネット試験(各会場が決める日に受験できる) |
| 電卓 | 使用できる(四則演算のみの電卓など、条件があります) |
試験日程や、電卓の条件などの細かい点は、年度によって変わることがあります。受験する前に、必ず日本商工会議所の簿記3級のページで、最新の情報を確認してください。
3つの大問と、配点
3級の試験は、3つの大問で構成されています。合格基準は70点なので、100点を取る必要はありません。得意な問題で、確実に点を取る意識が大切です。
| 大問 | 内容 | 配点 (2027年3月まで) | 配点 (2027年4月以降) |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 仕訳問題 | 45点 | 45点 |
| 第2問 | 勘定記入、補助簿、伝票、試算表などの個別問題 | 20点 | 25点 |
| 第3問 | 決算整理、精算表、財務諸表(貸借対照表・損益計算書) | 35点 | 30点 |
2027年4月1日以降に行われる3級の試験からは、配点が上の表のように変わります(日本商工会議所が、2026年9月に発表しました)。第1問の45点は、変わりません。仕訳問題が、合格の土台になることに変わりはないので、まず仕訳から固めるのが、近道です。配点の最新情報は、日本商工会議所の発表ページで確認できます。
2027年度から、出題範囲も改定されます
2027年4月1日以降の試験では、3級の出題区分表(出題範囲の一覧)も改定されます。日本商工会議所が、2026年7月31日に確定版を公表しました。3級に関係する主な変更は、次のとおりです。
- 紙の手形・小切手に関する出題が、なくなります。電子記録債権・電子記録債務の出題内容は、変わりません。
- 普通預金が、出題区分表に追加されます。
- 販売のつど売上原価勘定に振り替える方法が、2級から3級に移ります。
- 有形固定資産の除却・廃棄と、定率法(簡易な出題)が、2級から3級に移ります。
2026年度(2027年3月31日まで)の試験は、これまでの出題区分表のままです。受験する時期に合わせて、どちらの区分表が適用されるかを、確認してください。くわしくは、日本商工会議所の出題区分表のページで確認できます。
合格までの勉強の流れ(4ステップ)
おすすめの順番は、仕訳 → 第2問 → 第3問 → 本試験形式の演習です。配点の大きい第1問(仕訳)が、すべての土台になるからです。
ステップ1:仕訳の基本を覚える(第1問)
最初に、勘定科目の分類(資産・負債・純資産・収益・費用)と、仕訳の借方・貸方のルールを覚えます。そのうえで、現金・預金、商品売買、手形、固定資産などの仕訳を、一つずつ練習します。仕訳は、問題を繰り返し解いて、「見たらすぐ書ける」状態にするのが目標です。
当サイトの3級の仕訳ドリルは、分野ごとに、「この分野で学ぶこと」とヒントがついています。わからないときは、ヒントを見ながら進めてください。
ステップ2:個別問題に慣れる(第2問)
仕訳の次は、帳簿への記入や、伝票の起票、補助簿の選択などの問題です。仕訳の知識を、帳簿や伝票の形に、置き換える練習になります。出題の形式に慣れることが、いちばんの対策です。当サイトの3級第2問のドリルで、形式ごとに練習できます。
ステップ3:決算整理と精算表(第3問)
ここが、3級でいちばん山場になる部分です。決算整理の仕訳(経過勘定、貸倒引当金、減価償却、売上原価)を一つずつ固めてから、精算表の書き方を身につけます。そのあと、貸借対照表・損益計算書の作成に進みます。全体像は、第3問の対策にまとめています。
ステップ4:時間を計って、通しで解く
各分野ができるようになったら、60分を計って、第1問から第3問まで通しで解きます。知識があっても、時間内に終わらない、というのは、よくある失敗です。本試験の形式に慣れておきましょう。
4週間の学習スケジュールの例
簿記を初めて学ぶ方が、4週間で一通り学ぶ場合の、目安の例です。無理のない範囲で、ペースを調整してください。
| 週 | 中心にすること |
|---|---|
| 1週目 | 勘定科目の分類、仕訳のルール、現金・預金、商品売買の仕訳 |
| 2週目 | 手形、固定資産、給料・税金などの仕訳、第2問の形式(勘定記入・補助簿・伝票) |
| 3週目 | 決算整理仕訳(貸倒引当金・減価償却・売上原価・経過勘定)、精算表 |
| 4週目 | 貸借対照表・損益計算書、時間を計った通し演習、間違えた問題の解き直し |
本試験の時間配分の目安
試験時間は60分です。配点に応じて、次のような配分を目安にすると、時間が足りなくなりにくくなります。
- 第1問(仕訳):約15分 1題1分以内を目標に、迷ったら、先に進みます。
- 第2問(個別問題):約15分
- 第3問(決算整理・精算表など):約25分
- 見直し:約5分 金額の写し間違いや、借方・貸方の取り違えを確認します。
この配分は、あくまで目安です。自分の得意・不得意に合わせて、練習の中で調整してください。
私の受験体験(ネット試験)
私は、3級をネット試験で受験しました。結果は、97点でした。
- 時間の使い方:約40分で最後まで解き、残りの約20分は、見直しにあてました。上の時間配分の目安では、見直しを約5分としていますが、実際には、時間が余ったので、できる限り見直しをしました。
- いちばん苦労した分野:第2問の帳簿の作成です。第2問は、形式にクセがあるので、慣れるまでは、苦労すると思います。
見直しの時間は、金額の写し間違いや、借方・貸方の取り違えを見つけるのに、役に立ちます。解き終わったあとの時間も、点数につながる時間だと考えて、使い切りましょう。
問題を解く順番
大問を、第1問から順番に解かなければならない決まりは、ありません。解く順番は、人によって違います。私自身は、第1問 → 第3問 → 第2問の順で解きました。第2問は、勘定記入、補助簿、伝票など、出題の形式が毎回変わりやすく、少しクセがあると感じたので、後に回したのです。反対に、第3問は、決算整理の型を覚えていれば、安定して点が取りやすい大問です。
どの順番がよいかは、自分の得意・不得意と、時間の使い方で決まります。練習のときに、いくつかの順番を試して、自分に合う順番を、決めておきましょう。どの順番でも、次の2点は同じです。
- 最初に、問題全体にざっと目を通して、解ける問題と、時間のかかりそうな問題を見分ける。
- 時間のかかる問題に、はまりすぎない。迷ったら、いったん飛ばして、あとで戻る。
独学で伸びるコツ
- 仕訳は、書いて覚える。解説を読むだけでは、本番で手が動きません。必ず、自分で書いて、答え合わせをします。
- 間違えた問題は、日をおいて解き直す。同じ問題を、2〜3日後にもう一度解いて、解けるようになったら、完了とします。
- 勘定科目は、「分類」で覚える。「売掛金は資産」「前受金は負債」のように、分類と合わせて覚えると、仕訳の向きを間違えにくくなります。
- 電卓の操作に、慣れておく。本番で、電卓の打ち間違いをしないために、練習のときから電卓を使います。
- 「なぜ、その仕訳になるのか」を考える。丸暗記より、仕組みを理解したほうが、少し形が変わった問題にも対応できます。
- 完璧を目指さない。合格基準は70点です。難しい論点にこだわりすぎず、基本問題を確実に取りましょう。
よくある質問
独学でも合格できますか?
基本を順番に学び、問題を繰り返し解けば、独学でも合格を目指せます。わからない箇所は、解説やヒントを読んで、そのままにしないことが大切です。
申し込みは、どうすればよいですか?
統一試験の申し込みの時期や方法は、受験する地域の商工会議所によって異なります。試験日の約2〜3か月前になったら、受験したい地域の商工会議所に、問い合わせてください。ネット試験は、各ネット試験会場で、申し込みの方法を確認できます。
統一試験とネット試験は、どちらがよいですか?
統一試験は、決まった日に、紙の問題を解く方式です。ネット試験は、会場が決めた日時から選んで、パソコンで解答する方式です。自分の予定や、パソコンへの慣れで、選んでください。どちらも、出題範囲と合格基準は同じです。
当サイトの使い方
当サイトの問題は、無料で何度でも解けます。おすすめの使い方は、次のとおりです。
- まず、3級の仕訳ドリルで、第1問の対策をする。
- 第2問のドリルで、帳簿・伝票などの形式に慣れる。
- 精算表・貸借対照表・損益計算書のドリルで、第3問を練習する。
- 解説記事で、わからなかった論点を、見直す。
簿記3級は、正しい順番で、コツコツ続ければ、必ず手応えが出てくる試験です。まずは、仕訳を1問ずつ解くところから、始めてみてください。
