材料費(仕訳・材料元帳・消費価格差異)

【工業簿記】材料費
材料は、買う → 保管する → 使う という流れをたどります。この3つの場面それぞれに論点があります。
買うとき…引取運賃などの材料副費をどう扱うか/保管中…単価が違うものをどの順に払い出すか(先入先出法)/使うとき…予定消費価格を使い、後から差異を計算する。
【問1】仕訳 →【問2】材料元帳 →【問3】差異分析 の順に進めると、全体がつながって見えてきます。
【問1】仕訳を答えなさい
杉並工業所(金属部品の製造)の×1年6月の取引です。問題6のみ、比較のために別の工場の設定になっています。

(1) 素材300個を1個あたり400円で掛けで仕入れ、引取運賃6,000円を現金で支払った。

借方
貸方

(2) 素材200個を1個あたり430円で掛けで仕入れ、引取運賃4,000円を現金で支払った。

借方
貸方

(3) 購入代価200,000円の材料を掛けで仕入れた。なお、材料副費は購入代価の5%を予定配賦している。

借方
貸方

(4) 材料副費の当月実際発生額11,500円を当座預金から支払った。

借方
貸方

(5) 材料副費勘定の残高(予定配賦額10,000円、実際発生額11,500円)を、材料副費差異勘定に振り替えた。

借方
貸方

(6) (この問題のみ別の設定)実際消費価格を用いている工場で、当月の材料消費額は直接材料費150,000円、間接材料費40,000円であった。

借方
貸方

(7) 当工場は予定消費価格1個あたり430円を用いている。当月の消費数量は、直接材料480個・間接材料70個であった。材料の消費に関する仕訳を示しなさい。

借方
貸方

(8) 月末に材料の実際消費額を計算したところ233,500円であった。予定消費額236,500円との差額を、材料消費価格差異勘定に振り替える。

借方
貸方

(9) 月末に材料の実地棚卸を行ったところ、帳簿棚卸数量50個(1個あたり450円)に対して実地棚卸数量は48個であった。減耗は正常な範囲である。

借方
貸方

(10) 掛けで仕入れた素材のうち、品違いであったため12,000円を返品した。

借方
貸方

(11) 会計年度末に、材料消費価格差異勘定の貸方残高3,000円を売上原価に振り替えた。

借方
貸方
【問2】材料元帳を完成させなさい(先入先出法)
【資料】×1年6月の素材の受払は次のとおりであった。
  • 6月 1日 前月繰越 100個 1個あたり 400円
  • 6月 5日 仕  入 300個 1個あたり 420円(引取運賃込み)
  • 6月12日 払  出 250個
  • 6月18日 仕  入 200個 1個あたり 450円(引取運賃込み)
  • 6月25日 払  出 300個
色のついた欄に金額などを記入してください。先入先出法なので、先に受け入れたものから順に払い出します。単価が違うものが混ざっているときは、行を分けて記入します。
日付摘 要受 入払 出残 高
数量単価金額数量単価金額数量単価金額
6/1前月繰越
6/5仕 入
6/12払 出
6/18仕 入
6/25払 出
当月消費額55050450
【問3】材料消費価格差異を計算しなさい
【資料】当工場は予定消費価格 1個あたり430円を用いている。当月の実際消費数量は550個であり、実際消費額は問2で求めた金額である。
予定消費額(@430×550個)
実際消費額(先入先出法)
材料消費価格差異
この差異は  である。
【問4】材料まわりの勘定連絡図を完成させなさい
問1〜問3で見てきた取引を、勘定どうしのつながりとして1枚に整理します。中央の材料勘定が主役です。
① 空欄には相手勘定科目を選び、金額を入力する。ただし、勘定によっては借方・貸方のどちらか一方しか今月の取引がないものもあります。本当に取引があった側かどうかを考えながら埋めましょう。
(貸方側の赤い○)から (借方側の青い○)へドラッグして、線で結ぶ。
③ 引いた線をクリックすると、その線だけ消せます。
※ この図には、問1(6)の別設定・問1(10)の返品・材料副費は含めていません。
買掛金など
借方貸方
材料消費価格差異
借方貸方
材 料
借方貸方
仕掛品
借方貸方
製造間接費
借方貸方
📋 模範解答(材料元帳)
日付摘 要受 入払 出残 高
数量単価金額数量単価金額数量単価金額
6/1前月繰越10040040,00010040040,000
6/5仕 入300420126,00010040040,000
300420126,000
6/12払 出10040040,000
15042063,00015042063,000
6/18仕 入20045090,00015042063,000
20045090,000
6/25払 出15042063,000
15045067,5005045022,500
当月消費額550233,5005045022,500
📌 先入先出法の考え方
「先に入れたものから、先に出す」と考えて払い出していきます。

6/12 払出250個 … 残っているのは 前月繰越100個@400 と 6/5仕入300個@420
 まず古い方から 100個@400 = 40,000円、足りない150個を 150個@420 = 63,000円
 払出額 = 40,000 + 63,000 = 103,000円(残り 150個@420)

6/25 払出300個 … 残っているのは 150個@420 と 6/18仕入200個@450
 古い方から 150個@420 = 63,000円、足りない150個を 150個@450 = 67,500円
 払出額 = 63,000 + 67,500 = 130,500円(残り 50個@450)

当月消費額 = 103,000 + 130,500 = 233,500円
月末有高 = 50個 × 450円 = 22,500円
検算のポイント:受入合計(40,000+126,000+90,000=256,000円)と、消費額233,500円+月末有高22,500円=256,000円が一致します。ここが合わなければどこかで計算を誤っているので、必ず確かめましょう。
数量でも、受入600個 − 払出550個 = 月末50個 と合っています。
📌 材料消費価格差異
予定消費額 = @430 × 550個 = 236,500円
実際消費額 = 233,500円(先入先出法で計算した金額)
差異 = 236,500 − 233,500 = 3,000円(有利差異・貸方差異)
有利差異(貸方差異)不利差異(借方差異)
大小関係予定 > 実際予定 < 実際
意味思ったより安く済んだ思ったよりかかった
差異の仕訳(借)材料/(貸)材料消費価格差異(借)材料消費価格差異/(貸)材料
本問236,500 > 233,500 → 該当
なぜ材料が借方に出てくるのか:消費のときに材料勘定から減らしたのは予定額236,500円でした。でも実際に減った材料は233,500円ぶんだけです。減らしすぎた3,000円を材料勘定に戻すため、借方に材料と書きます。この「戻す」というイメージを持つと、貸借を丸暗記しなくても導けます。
📊 材料勘定の全体像
材 料
前月繰越40,000
当月仕入(126,000+90,000)216,000
材料消費価格差異(戻し)3,000
(借方合計)259,000
予定消費額(仕掛品・製造間接費へ)236,500
棚卸減耗(製造間接費へ)900
月末有高21,600
(貸方合計)259,000
材料勘定に、これまでの取引をすべて集めるとこうなります。月末有高は帳簿上22,500円でしたが、棚卸減耗900円が生じたため、実際に残っているのは21,600円です。借方合計と貸方合計がどちらも259,000円で一致していることを確かめましょう。
※ 問1(10)の返品12,000円は、この材料元帳とは別の取引として扱っています。
🔗 勘定連絡図の読み方(問4)
📋 模範解答(勘定連絡図)
買掛金など
借方貸方
材料216,000
材料消費価格差異
借方貸方
材料3,000
材 料
借方貸方
前月繰越40,000
買掛金など216,000
材料消費価格差異3,000
仕掛品206,400
製造間接費30,100
製造間接費900
次月繰越21,600
仕掛品
借方貸方
材料206,400
製造間接費
借方貸方
材料30,100
材料900
製造間接費が2行に分かれている理由:この図では、材料勘定の貸方から製造間接費への流れを間接材料費30,100円棚卸減耗900円という原因の違う2つの金額に分けて描いています。どちらも「材料が製造間接費になった」という点は同じですが、理由が違うことを区別して理解してもらうためです。
実際に総勘定元帳の製造間接費勘定へ記帳するときは、同じ日に同じ相手科目(材料)への記入が複数あれば、合算して1行(材料 31,000)にまとめるのが一般的です。試験で実際の帳簿を作成する場合は、まとめる点に注意しましょう。
勘定連絡図は、「ある勘定の貸方に書いた相手科目が、その相手勘定の借方に現れる」というルールでつながっています。線はいつも貸方 → 借方の向きに引きます。

材料に入ってくるもの(借方)
 ・前月繰越 40,000円 …前月から持ち越した分
 ・買掛金など 216,000円 …当月の仕入(126,000+90,000)
 ・材料消費価格差異 3,000円 …減らしすぎた予定額を戻した分

材料から出ていくもの(貸方)
 ・仕掛品 206,400円 …直接材料費(@430×480個)
 ・製造間接費 30,100円 …間接材料費(@430×70個)
 ・製造間接費 900円 …棚卸減耗(2個×450円)
 ・次月繰越 21,600円 …実際に残っている材料
この図でいちばん大事なこと:材料勘定の貸方は、行き先が2つに分かれます。特定の製品にいくら使ったか分かる分は仕掛品へ、分からない分(間接材料費・棚卸減耗)は製造間接費へ進みます。このあと製造間接費は仕掛品へ配賦されるので、最終的にはどちらも仕掛品に集まり、製品原価になっていきます。
材料消費価格差異だけが左から材料に戻ってくるのは、予定額で減らしすぎた分を修正しているからです(上の「なぜ材料が借方に出てくるのか」を参照)。
なお、この差異は最後に売上原価へ振り替えられ(問1(11))、製品原価そのものには含まれません。