原価の流れ

【工業簿記】原価の流れ
工業簿記の土台となる、原価が形を変えて流れていく様子をたどる問題です。材料・労務費・経費 → 仕掛品/製造間接費 → 製品 → 売上原価 → 月次損益 という一本道を意識してください。まず【問1】で1つずつ仕訳を作り、そのうえで【問2】で総勘定元帳に転記します。同じ取引を2つの角度から見ることで、原価の流れが立体的につかめます。
【設定】 中野製作所は木製家具を製造している。当月(×1年9月)の月初有高は、仕掛品 24,000円製品 40,000円であった。なお、材料・労務費・経費に月初残高はない。
※ このドリルでは、表示の都合上「販売費及び一般管理費」を販管費と表記しています。
【当月の取引】
  1. 家具の製造に用いる素材 52,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
  2. 工場の従業員に対する当月分の賃金 96,000円を、当座預金口座から振り込んだ。
  3. 工場で使用した電力料や機械の保険料など、合計 68,000円について小切手を振り出して支払った。
  4. 当月中に消費した原価要素は次のとおりであった。
    • 材料  … 直接材料費 30,000円 / 間接材料費 12,000円
    • 労務費 … 直接労務費 58,000円 / 間接労務費 36,000円
    • 経費  … 直接経費  14,000円 / 間接経費  50,000円
  5. 製造間接費勘定に集められた金額を、当月の製造分(仕掛品)へ振り替えた。
  6. 当月中に完成して倉庫へ受け入れた家具の製造原価は 200,000円であった。
  7. 得意先へ家具を 320,000円で引き渡し、代金は掛けとした。引き渡した家具の製造原価は 180,000円である。
  8. 本社での営業活動および事務にかかった費用 26,000円を、現金で支払った。
  9. 当月の損益を計算するため、売上・売上原価・販管費の各勘定残高を月次損益勘定へ振り替えた。
【問1】仕訳を答えなさい

(1) 家具の製造に用いる素材52,000円を仕入れ、代金は掛けとした。

借方
貸方

(2) 工場の従業員に対する当月分の賃金96,000円を、当座預金口座から振り込んだ。

借方
貸方

(3) 工場で使用した電力料や機械の保険料など、合計68,000円について小切手を振り出して支払った。

借方
貸方

(4) 当月中に消費した原価要素は次のとおりであった。材料のうち直接材料費30,000円・間接材料費12,000円、労務費のうち直接労務費58,000円・間接労務費36,000円、経費のうち直接経費14,000円・間接経費50,000円。

借方
貸方

(5) 製造間接費勘定に集められた98,000円を、当月の製造分に振り替えた(配賦した)。

借方
貸方

(6) 当月中に完成して倉庫へ受け入れた家具の製造原価は200,000円であった。

借方
貸方

(7) 得意先へ家具を320,000円で引き渡し、代金は掛けとした(売上の計上のみ答えなさい)。

借方
貸方

(8) 上記で引き渡した家具の製造原価は180,000円であった(売上原価の計上を答えなさい)。

借方
貸方

(9) 本社での営業活動および事務にかかった費用26,000円を、現金で支払った。

借方
貸方

(10) 当月の損益を計算するため、売上勘定の残高320,000円を月次損益勘定へ振り替えた。

借方
貸方

(11) 同じく、売上原価180,000円と販管費26,000円の各勘定残高を、月次損益勘定へ振り替えた。

借方
貸方
【問2】各勘定に転記しなさい(相手科目と金額)

各行の左に相手科目を選び、右に金額を記入してください。記入する順序は取引の順番どおりとします。
相手科目が2つ以上あるときは「諸口」を選びます。また、月初有高は「前月繰越」を選んでください(仕掛品・製品)。なお、勘定の締め切りは行いません。

材料
労務費
経費
仕掛品
製造間接費
製品
売上原価
売上
販管費
月次損益
📈 原価の流れ(全体像)
材料 42,000
労務費 94,000
経費 64,000消費した原価要素
仕掛品月初 24,000
+直接 102,000
+配賦 98,000
=224,000
製品月初 40,000
+完成 200,000
=240,000
売上原価180,000
月次損益利益 114,000
原価要素のうち直接費は仕掛品へ直行し、間接費はいったん製造間接費に集めてから仕掛品へ配賦されます。そして完成した分だけが製品へ、引き渡した分だけが売上原価へ進みます。
各段階で「残る分」があり、それが月末仕掛品(24,000円)と月末製品(60,000円)になるのがポイントです。月初有高がある場合は、それも合わせて計算に入れることを忘れないようにしましょう。
✅ 各勘定の残高(検算)
勘定借方合計貸方合計月末残高
材料52,00042,00010,000
労務費96,00094,0002,000
経費68,00064,0004,000
製造間接費98,00098,0000
仕掛品224,000200,00024,000
製品240,000180,00060,000
月次損益206,000320,000114,000(利益)
製造間接費の残高がゼロになることを必ず確認しましょう。集計した98,000円をそのまま全額、仕掛品へ配賦しているためです(この問題では配賦差異は生じません)。
また、仕掛品は「月初24,000+当月投入200,000=224,000」から完成分200,000を差し引いて月末24,000、製品は「月初40,000+完成200,000=240,000」から売上原価180,000を差し引いて月末60,000となります。
📝 転記のコツ
転記とは、仕訳で書いた勘定科目と金額を、それぞれの勘定口座に書き写す作業です。
仕訳の借方に出てきた科目は、その勘定の借方へ。貸方も同じです。
書き込む相手科目は「反対側の科目」。たとえば「(借)材料 52,000/(貸)買掛金 52,000」なら、材料勘定の借方に「買掛金 52,000」と書きます。
相手科目が2つ以上あるときは「諸口」と書きます。消費の仕訳では材料42,000円の相手が仕掛品と製造間接費の2つなので、材料勘定の貸方は「諸口 42,000」となります。
月初有高は「前月繰越」として借方に置きます(仕掛品・製品)。