総合原価計算(先入先出法)

【工業簿記】総合原価計算(先入先出法)
同じ規格の製品を継続して大量生産する場合には、指図書ごとに原価を集計する個別原価計算ではなく、一定期間(1か月)の製造原価を、その期間に完成した製品と、まだ完成していない月末仕掛品とに配分する総合原価計算を用います。
先入先出法では、月初仕掛品は当月中に「先に」完成するものと考え、月初仕掛品原価はそのまま完成品原価に含め、当月投入した原価だけを使って、完成品と月末仕掛品への配分単価を計算します。
【問1】生産データ・原価データの整理 →【問2】仕訳 →【問3】仕掛品勘定の完成 の順に進めましょう。
【問1】先入先出法により、生産データと原価データを整理しなさい
【資料】月島製菓(A製品の量産)の×3年6月の資料です。原料は工程の始点で投入し、加工費は加工の進み具合に応じて発生する。月初仕掛品・月末仕掛品の評価は先入先出法による。
  • 生産数量:月初仕掛品200個(加工進捗度40%)/当月投入800個/完成品750個/月末仕掛品250個(加工進捗度60%)
  • 月初仕掛品原価:材料費100,000円/加工費31,000円
  • 当月製造費用:材料費480,000円/加工費574,000円
色のついた欄に数量・金額を記入してください。
①材料費のボックス図(原料は工程の始点で投入するため、数量がそのまま材料費の完成品換算量になります)。空欄の完成品数量を、月初仕掛品・当月投入・月末仕掛品の数量から差し引きで求めてください。
月初仕掛品
200個
(加工進捗度40%)
当月投入
800個
(=材料費の完成品換算量)
完成品
月末仕掛品
250個
(加工進捗度60%)
②加工費のボックス図(加工費は加工の進み具合に応じて発生するため、月初・月末は「加工進捗度」を掛けた換算量で考えます)。完成品数量は①のボックス図と同じ750個です。月初仕掛品換算量・月末仕掛品換算量を計算したうえで、いちばん難しい「当月投入換算量」を、完成品から月初仕掛品換算量を差し引き、月末仕掛品換算量を加えて求めてください。
月初仕掛品換算量
当月投入換算量
完成品
750個
月末仕掛品換算量
①のボックス図の「当月投入」(材料費換算量800個)と、②のボックス図の「当月投入換算量」(加工費換算量820個)を使い、当月製造費用(材料費480,000円・加工費574,000円)を割って単価を求めます(材料費@600円・加工費@700円)。この単価を使って、月末仕掛品原価を計算してください。
材料費加工費合計
月初仕掛品原価100,00031,000
当月製造費用480,000574,000
合計
材料費加工費合計
月末仕掛品原価
完成品原価
完成品単価(@)
📊 生産データ・原価データ(解答)
生産数量材料費換算量加工費換算量
合計 1,000個
月初仕掛品換算量200個80個(200個×40%)
月末仕掛品換算量250個150個(250個×60%)
当月投入完成品換算量800個820個
材料費加工費合計
月初仕掛品原価100,00031,000131,000
当月製造費用480,000574,0001,054,000
合計580,000605,0001,185,000
(参考)当月投入分の単価@600円@700円
月末仕掛品原価150,000105,000255,000
完成品原価930,000
完成品単価@1,240円
完成品換算量(先入先出法)
材料費:750個-200個+250個=800個(材料は始点投入のため、月初・月末とも進捗度に関係なく100%)
加工費:750個-200個×40%+250個×60%=750-80+150=820個

当月投入分の単価(月末仕掛品の計算に使う単価)
材料費:480,000円÷800個=@600円
加工費:574,000円÷820個=@700円

月末仕掛品原価
材料費:250個×600円=150,000円
加工費:150個×700円=105,000円

完成品原価=131,000円+1,054,000円-255,000円=930,000円
完成品単価=930,000円÷750個=@1,240円
先入先出法のポイントは、月初仕掛品原価(131,000円)はそのまま完成品原価に含め、当月投入した原価(1,054,000円)だけを使って、月末仕掛品の計算に使う単価を求めることです。月初仕掛品の換算量を"差し引き"、月末仕掛品の換算量を"加える"ことで、「当月投入して当月中に配分すべき数量」だけを取り出しているのがポイントです。なお、完成品単価(@1,240円)は、月初仕掛品から引き継いだ原価と当月投入分の原価を合わせた「完成品全体の平均単価」であり、当月投入分の単価(@600円・@700円)とは意味が異なります。
【問2】仕訳を答えなさい
問1で計算した金額をもとに、材料費・加工費の計上と、完成品原価の振り替えを仕訳で確認します。

(1) 当月、A原料480,000円を工程に投入し、直接材料費として仕掛品勘定に計上した。

借方
貸方

(2) 当月の加工費574,000円を仕掛品勘定に計上した。

借方
貸方

(3) 当月完成した製品の原価930,000円を、仕掛品勘定から製品勘定に振り替えた。

借方
貸方
【問3】仕掛品勘定を完成させなさい
問1・問2の金額を使って、仕掛品勘定(T字勘定)に記入します。色のついた欄に金額を記入してください。
仕 掛 品
借方貸方
前月繰越131,000製  品
材  料次月繰越
製造間接費
合計合計
📊 仕掛品勘定(解答)
借方貸方
前月繰越131,000製  品930,000
材  料480,000次月繰越255,000
製造間接費574,000
合計1,185,000合計1,185,000
仕掛品勘定の借方には、前月から繰り越された月初仕掛品原価(131,000円)と、当月新たに発生した材料費(480,000円)・加工費(574,000円)が集計されます。貸方には、完成して製品勘定へ振り替えられた完成品原価(930,000円)と、翌月に繰り越される月末仕掛品原価(255,000円)が記入され、借方合計と貸方合計はどちらも1,185,000円で一致します。