【工業簿記】製造間接費(予定配賦と差異分析)
製造間接費は、実際発生額が集計できるのが月末になってからのため、多くの企業ではあらかじめ決めた「予定配賦率」を使って製品にすぐ配賦し、月末に実際発生額と比べて差額(配賦差異)を把握します。
【問1】予定配賦率の計算 →【問2】仕訳 →【問3】配賦差異の分析 →【問4】勘定連絡図 の順に進めましょう。
製造間接費は、実際発生額が集計できるのが月末になってからのため、多くの企業ではあらかじめ決めた「予定配賦率」を使って製品にすぐ配賦し、月末に実際発生額と比べて差額(配賦差異)を把握します。
【問1】予定配賦率の計算 →【問2】仕訳 →【問3】配賦差異の分析 →【問4】勘定連絡図 の順に進めましょう。
【問1】予定配賦率を計算しなさい
【資料】杉並工業所は公式法変動予算により製造間接費を予定配賦している。
- 基準操業度(年間予定直接作業時間) 12,000時間
- 年間製造間接費予算 変動費 4,800,000円/固定費 4,800,000円
色のついた欄に金額を記入してください。
| 項目 | 計算式 | 金額 |
|---|---|---|
| 変動費率 | 4,800,000円 ÷ 12,000時間 | |
| 固定費率 | 4,800,000円 ÷ 12,000時間 | |
| 予定配賦率 | 変動費率 + 固定費率 |
📌 予定配賦率の求め方
公式法変動予算では、製造間接費予算を「操業度に比例して増減する変動費」と「操業度に関係なく一定の固定費」に分けて予算を組みます。
変動費率 = 変動費予算 ÷ 基準操業度 = 4,800,000円 ÷ 12,000時間 = 400円/時間
固定費率 = 固定費予算 ÷ 基準操業度 = 4,800,000円 ÷ 12,000時間 = 400円/時間
予定配賦率 = 変動費率 + 固定費率 = 400 + 400 = 800円/時間
変動費率 = 変動費予算 ÷ 基準操業度 = 4,800,000円 ÷ 12,000時間 = 400円/時間
固定費率 = 固定費予算 ÷ 基準操業度 = 4,800,000円 ÷ 12,000時間 = 400円/時間
予定配賦率 = 変動費率 + 固定費率 = 400 + 400 = 800円/時間
予定配賦率は年度が始まる前に決めておき、1年間(この例では12か月)そのまま使い続けます。月ごとに変わるものではない点に注意しましょう。
【問2】仕訳を答えなさい
当月(6月)の実際直接作業時間は950時間、製造間接費の実際発生額は781,500円であった。
(1) 当月の実際直接作業時間950時間にもとづき、予定配賦率を用いて製造間接費を仕掛品へ予定配賦した。
借方
貸方
(2) 当月の製造間接費実際発生額(間接材料費・間接労務費・間接経費の合計)781,500円を、製造間接費勘定に集計した。
借方
貸方
(3) 製造間接費の予定配賦額と実際発生額との差額(配賦差異)を、製造間接費配賦差異勘定に振り替えた。
借方
貸方
【問3】配賦差異を分析しなさい
問1・問2の資料にもとづき、配賦差異を「予算差異」と「操業度差異」に分析します。金額は絶対値(プラスの値)で入力し、有利差異か不利差異かを選んでください。
| 項目 | 計算式 | 金額 | 区分 |
|---|---|---|---|
| 予算許容額 | 変動費率400円×実際操業度950時間+固定費予算額400,000円 | ||
| 予算差異 | 予算許容額-実際発生額781,500円 | ||
| 操業度差異 | (実際操業度950時間-基準操業度1,000時間)×固定費率400円 | ||
| 配賦差異合計 | 予算差異+操業度差異 |
📌 予算差異と操業度差異
予算許容額 … 実際operating(実際操業度)で本来使ってよいはずの製造間接費の金額。「実際操業度のもとで許される予算」という意味です。
予算許容額 = 変動費率400円×950時間+固定費予算額400,000円 = 380,000円+400,000円 = 780,000円
予算差異 = 予算許容額-実際発生額 = 780,000-781,500 = △1,500円(不利差異)
実際発生額が予算許容額を超えているため、無駄遣いがあったと考えられます。
操業度差異 = (実際操業度-基準操業度)×固定費率 = (950-1,000)×400 = △20,000円(不利差異)
実際操業度が基準操業度より低く、工場の設備を計画どおりフル活用できなかったことを表します。
予算許容額 = 変動費率400円×950時間+固定費予算額400,000円 = 380,000円+400,000円 = 780,000円
予算差異 = 予算許容額-実際発生額 = 780,000-781,500 = △1,500円(不利差異)
実際発生額が予算許容額を超えているため、無駄遣いがあったと考えられます。
操業度差異 = (実際操業度-基準操業度)×固定費率 = (950-1,000)×400 = △20,000円(不利差異)
実際操業度が基準操業度より低く、工場の設備を計画どおりフル活用できなかったことを表します。
予算差異+操業度差異=△1,500+△20,000=△21,500円となり、問2で計算した配賦差異(予定配賦額760,000-実際発生額781,500=△21,500円)と一致します。この一致を確認することで、計算ミスがないかチェックできます。
📈 シュラッター図(公式法変動予算)
原点から、変動費率の線は右肩上がり、固定費率の線は右肩下がりに引きます。この2本の線にはさまれた幅が、その操業度における予定配賦額を表します。
上のオレンジの線が変動費率(右肩上がり)、下の青い線が固定費率(右肩下がり)です。この2本の線にはさまれた幅が、その操業度における「予定配賦額」(変動費率×操業度+固定費率×操業度)にあたります。
予算差異(上側)は、実際発生額と予算許容額(=変動費率×実際操業度+固定費予算)を比べたもの。実際発生額が上にあれば不利差異です。
操業度差異(下側)は、固定費率の線が実際操業度でどれだけ固定費予算に届いているかを表します。実際操業度が基準操業度より低いと、固定費を配賦しきれず不利差異になります。
予算差異(上側)は、実際発生額と予算許容額(=変動費率×実際操業度+固定費予算)を比べたもの。実際発生額が上にあれば不利差異です。
操業度差異(下側)は、固定費率の線が実際操業度でどれだけ固定費予算に届いているかを表します。実際操業度が基準操業度より低いと、固定費を配賦しきれず不利差異になります。
【問4】製造間接費まわりの勘定連絡図を完成させなさい
製造間接費勘定を中心に、仕掛品・製造間接費配賦差異への流れを整理します。
① 空欄には相手勘定科目を選び、金額を入力する。
② (貸方側の赤い○)から (借方側の青い○)へドラッグして、線で結ぶ(逆方向からでも引けます)。
③ 引いた線をクリックすると、その線だけ消せます。
① 空欄には相手勘定科目を選び、金額を入力する。
② (貸方側の赤い○)から (借方側の青い○)へドラッグして、線で結ぶ(逆方向からでも引けます)。
③ 引いた線をクリックすると、その線だけ消せます。
製造間接費
借方貸方
諸口781,500
仕 掛 品
借方貸方
製造間接費配賦差異
借方貸方
📊 製造間接費勘定の全体像
| 製造間接費 | |
|---|---|
| 諸口(実際発生額) | 781,500 |
| 仕掛品(予定配賦額) | 760,000 |
| 製造間接費配賦差異 | 21,500 |
製造間接費勘定の借方には実際発生額781,500円が集計され、貸方には仕掛品への予定配賦額760,000円と、差額を振り替えた製造間接費配賦差異21,500円が記入されます。借方合計と貸方合計はどちらも781,500円で一致します。
📋 模範解答(勘定連絡図)
製造間接費
借方貸方
諸口781,500
仕掛品760,000
製造間接費配賦差異21,500
仕 掛 品
借方貸方
製造間接費760,000
製造間接費配賦差異
借方貸方
製造間接費21,500