【連結会計の学習ナビ ③/③】 このドリルは連結会計の総仕上げ「開始仕訳(連結2年目)」です。①資本連結・②成果連結を学んだ前提で、前期までの連結修正を翌期に引き継ぐ「開始仕訳」と、当期分の修正仕訳の使い分けを学びます。資本連結だけでなく、成果連結の繰り越し(期首商品の未実現利益)も扱います。ここまで解ければ連結の基本仕訳は一通り完成です。
連結修正仕訳は帳簿には記録されないため、連結2年目以降は前期までの修正仕訳を「開始仕訳」として引き継ぐ必要があります。損益項目(のれん償却・非支配株主に帰属する当期純利益など)は開始仕訳ではすべて「利益剰余金(当期首残高)」に置き換わる、という点を意識して解いてみてください。
次の仕訳問題を解いてみてください。
問題1: P社は前々期末(×1年3月31日)にS社の発行済株式の80%を440,000円で取得し支配を獲得した。支配獲得日のS社の純資産は資本金300,000円、利益剰余金200,000円であった。前期(×2年3月期)が連結1年目、当期(×3年3月期)が連結2年目にあたる。当期の連結にあたり、投資と資本の相殺消去に関する開始仕訳を示しなさい。
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連結修正仕訳は連結財務諸表の上だけで行い、各社の帳簿には残りません。だから翌期は、前期にやった修正をもう一度やり直す必要があります。これが開始仕訳です。
支配獲得日(前々期末・×1年3月31日)の資本連結
(借)資本金 300,000・利益剰余金 200,000・のれん 40,000 /(貸)子会社株式 440,000・非支配株主持分 100,000
▼ 帳簿に残らないので当期首にやり直す(=そのまま同じ仕訳)
当期の開始仕訳:(借)資本金 300,000・利益剰余金 200,000・のれん 40,000 /(貸)子会社株式 440,000・非支配株主持分 100,000
※のれん=440,000−500,000×80%=40,000/非支配株主持分=500,000×20%=100,000
問題2: 上記の設例について、前期に行ったのれん償却(のれん40,000円を10年で定額法償却、前期償却額4,000円)を引き継ぐ開始仕訳を示しなさい。
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前期に行った修正仕訳
(借)のれん償却 4,000 /(貸)のれん 4,000
▼ 損益項目(のれん償却=費用)を「利益剰余金」に置き換える
開始仕訳:(借)利益剰余金 4,000 /(貸)のれん 4,000
前期の費用(のれん償却)は、前期の利益を通じて利益剰余金に含まれているため、開始仕訳では損益項目を「利益剰余金(当期首残高)」に置き換えます。これが「開始仕訳では損益項目→利益剰余金」ルールです。
問題3: 上記の設例について、前期のS社の当期純利益は150,000円であった。非支配株主(20%)への按分を引き継ぐ開始仕訳を示しなさい。
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前期に行った修正仕訳
(借)非支配株主に帰属する当期純利益 30,000 /(貸)非支配株主持分 30,000
▼ 損益項目を「利益剰余金」に置き換える(前問と同じルール)
開始仕訳:(借)利益剰余金 30,000 /(貸)非支配株主持分 30,000
「非支配株主に帰属する当期純利益」も損益項目(連結P/L)なので、開始仕訳では利益剰余金に置き換わります。開始仕訳の借方(損益側)はすべて利益剰余金になる、と覚えると迷いません。(30,000=S社前期純利益150,000×20%)
問題4: 上記の設例(80%取得440,000円、支配獲得日の資本金300,000円・利益剰余金200,000円、のれん40,000円を10年償却、前期S社純利益150,000円、前期のS社の配当はなし)について、当期の連結にあたって必要な開始仕訳を1本にまとめて示しなさい。
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前問までの3つ(①資本連結+②のれん償却の引継ぎ+③純利益按分の引継ぎ)を1本に合算したものが「まとめ開始仕訳」です。連結精算表ではこれを書けるかがカギ。
合算の内訳
利益剰余金200,000+4,000+30,000
=234,000
のれん40,000−4,000
=36,000
非支配株主持分100,000+30,000
=130,000
のれんは償却で減り、利益剰余金と非支配株主持分は前期の損益・按分の分だけ増える、という向きを押さえましょう。
まとめ開始仕訳:(借)資本金 300,000・利益剰余金 234,000・のれん 36,000 /(貸)子会社株式 440,000・非支配株主持分 130,000
問題5: 上記の設例について、当期分ののれんの償却を行う(のれんの当初計上額40,000円、償却期間10年、定額法)。
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「前期分の引継ぎ」と「当期分」を区別する
前期分(開始仕訳)利益剰余金 / のれん
当期分(今回)のれん償却 / のれん
前期分は開始仕訳で「利益剰余金」に置き換えて引き継ぎました。当期分は通常どおり費用「のれん償却」で計上します。ここの使い分けが最大のポイント。償却額=40,000÷10年=4,000円。
(借)のれん償却 4,000 /(貸)のれん 4,000
問題6: 上記の設例について、当期のS社の当期純利益は200,000円であった。非支配株主(20%)に帰属する当期純利益を計上する連結修正仕訳を示しなさい。
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当期の利益は「損益項目」で按分
S社 当期純利益200,000円
× 20%
40,000円非支配株主分
当期分の按分は、連結P/Lの項目「非支配株主に帰属する当期純利益」で計上します。前期分の引継ぎ(開始仕訳で利益剰余金に置き換え)との使い分けがポイント。200,000×20%=40,000円。
(借)非支配株主に帰属する当期純利益 40,000 /(貸)非支配株主持分 40,000
問題7: 上記の設例について、S社は当期中に配当金50,000円を支払った(P社の持分80%、P社は受取配当金40,000円を計上している)。配当金に関する連結修正仕訳を示しなさい。
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S社の配当 50,000 を受け取った側で分けて消す
S社 配当50,000円
→
P社へ 40,000受取配当金を消去
非支配株主へ 10,000非支配株主持分を減少
配当の消去は当期分の処理(開始仕訳ではありません)。P社受取分40,000は受取配当金を消去、非支配株主分10,000は非支配株主持分を減少。貸方はS社が配当で減らした利益剰余金50,000を元に戻します。
(借)受取配当金 40,000・非支配株主持分 10,000 /(貸)利益剰余金 50,000
問題8: 前期末のS社の期末商品には、P社から仕入れた商品に含まれる未実現利益30,000円があり、前期の連結で消去済みである(P社→S社のダウンストリーム)。当期(連結2年目)に必要な開始仕訳を示しなさい。
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前期末に行った消去
(借)売上原価 30,000 /(貸)商品 30,000
▼ 損益項目(売上原価)を「利益剰余金」に置き換える
開始仕訳:(借)利益剰余金 30,000 /(貸)商品 30,000
成果連結(②)でも、開始仕訳のルールは資本連結と同じ。損益項目(売上原価)は利益剰余金に置き換え、資産項目(商品)はそのまま引き継ぎます。次の問題で、この商品が当期に実現します。
問題9: 上記の設例について、開始仕訳で引き継いだ期首商品(未実現利益30,000円)は当期中に外部へ販売された。この未実現利益の実現に関する連結修正仕訳を示しなさい。
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2本の仕訳を合算する
① 開始仕訳:(借)利益剰余金 30,000 /(貸)商品 30,000
② 当期の実現:(借)商品 30,000 /(貸)売上原価 30,000
▼ ①と②を合算(商品 が借方・貸方で相殺して消える)
連結修正仕訳(解答):(借)利益剰余金 30,000 /(貸)売上原価 30,000
期首商品が当期に外部へ売れて利益が実現したので、開始仕訳で減らした商品を元に戻します(借方・商品)。①と②を足すと商品が相殺され、試験での解答は「利益剰余金/売上原価」の形になります。