総合原価計算(平均法)

【工業簿記】総合原価計算(平均法)
同じ規格の製品を継続して大量生産する場合には、指図書ごとに原価を集計する個別原価計算ではなく、一定期間(1か月)の製造原価を、その期間に完成した製品と、まだ完成していない月末仕掛品とに配分する総合原価計算を用います。
平均法では、月初仕掛品原価と当月製造費用を区別せず合算し、完成品数量と月末仕掛品換算量の合計で割って、完成品・月末仕掛品に共通の単価を求めます。先入先出法と異なり、月初仕掛品の加工進捗度は計算に使いません。
【問1】生産データ・原価データの整理 →【問2】仕訳 →【問3】仕掛品勘定の完成 の順に進めましょう。
【問1】平均法により、生産データと原価データを整理しなさい
【資料】月島製菓(A製品の量産)の×3年7月の資料です。原料は工程の始点で投入し、加工費は加工の進み具合に応じて発生する。月初仕掛品・月末仕掛品の評価は平均法による。
  • 生産数量:月初仕掛品200個(加工進捗度50%)/当月投入800個/完成品900個/月末仕掛品100個(加工進捗度50%)
  • 月初仕掛品原価:材料費100,000円/加工費60,000円
  • 当月製造費用:材料費400,000円/加工費510,000円
色のついた欄に数量・金額を記入してください。
①材料費のボックス図(原料は工程の始点で投入するため、数量がそのまま材料費の完成品換算量になります)。空欄の完成品数量を、月初仕掛品・当月投入・月末仕掛品の数量から差し引きで求めてください。
月初仕掛品
200個
(加工進捗度50%)
当月投入
800個
完成品
月末仕掛品
100個
(加工進捗度50%)
平均法では、月初仕掛品と当月投入をまとめて考え、完成品数量+月末仕掛品数量(=1,000個)を材料費の分母として使います。
②加工費のボックス図(加工費は加工の進み具合に応じて発生するため、月初・月末は「加工進捗度」を掛けた換算量で考えます)。完成品数量は①のボックス図と同じ900個です。月初仕掛品換算量・月末仕掛品換算量を計算したうえで、当月投入換算量を差し引きで求めてください。
月初仕掛品換算量
当月投入換算量
完成品
900個
月末仕掛品換算量
ここが先入先出法との違いです。平均法では、月初仕掛品換算量(100個)や当月投入換算量(850個)は使わず、完成品(900個)+月末仕掛品換算量(50個)=950個をそのまま加工費の分母として使います(先入先出法では、逆にこの「当月投入換算量」を分母として使います)。
①の分母(材料費1,000個)と②の分母(加工費950個)を使い、月初仕掛品原価と当月製造費用の合計を割って、完成品・月末仕掛品に共通の単価を求めてください。
材料費加工費合計
月初仕掛品原価100,00060,000
当月製造費用400,000510,000
合計
平均単価(@)
材料費加工費合計
月末仕掛品原価
完成品原価
完成品単価(@)
📊 生産データ・原価データ(解答)
生産数量材料費換算量加工費換算量
月初仕掛品200個100個(200個×50%)
当月投入800個850個(差引)
完成品900個900個
月末仕掛品100個50個(100個×50%)
分母(平均法で使う数量)1,000個(=完成品+月末仕掛品)950個(=完成品+月末仕掛品換算量)
材料費加工費合計
月初仕掛品原価100,00060,000160,000
当月製造費用400,000510,000910,000
合計500,000570,0001,070,000
平均単価@500円@600円
月末仕掛品原価50,00030,00080,000
完成品原価450,000540,000990,000
完成品単価@1,100円
加工費の換算量
月初仕掛品換算量:200個×50%=100個
月末仕掛品換算量:100個×50%=50個
当月投入換算量(差引):900個-100個+50個=850個(平均法ではこの数値は使いません)

完成品換算量合計(平均法で使う分母)
材料費:900個+100個=1,000個(材料は始点投入のため、月初・月末とも進捗度に関係なく100%)
加工費:900個+50個=950個(月初仕掛品換算量・当月投入換算量は使いません)

平均単価
材料費:(100,000円+400,000円)÷1,000個=@500円
加工費:(60,000円+510,000円)÷950個=@600円

月末仕掛品原価
材料費:100個×500円=50,000円
加工費:50個×600円=30,000円

完成品原価
材料費:900個×500円=450,000円
加工費:900個×600円=540,000円
合計=990,000円

完成品単価=990,000円÷900個=@1,100円(=材料費単価500円+加工費単価600円)
平均法のポイントは、月初仕掛品原価(160,000円)と当月製造費用(910,000円)を区別せずに合算し、「完成品数量+月末仕掛品換算量」という1つの分母で割って単価を求めることです。この単価(材料@500円・加工@600円)は、完成品にも月末仕掛品にも同じ単価がそのまま使われます。先入先出法のように「当月投入分の単価」と「完成品単価」が別々の値になることはなく、完成品単価(@1,100円)は材料費単価と加工費単価をそのまま足した値と一致します。なお、②のボックス図には先入先出法と同じ形式で「月初仕掛品換算量」「当月投入換算量」も表示していますが、平均法ではこれらの値は使わず、完成品と月末仕掛品換算量の合計だけを分母として使う点に注意してください。
【問2】仕訳を答えなさい
問1で計算した金額をもとに、材料費・加工費の計上と、完成品原価の振り替えを仕訳で確認します。

(1) 当月、A原料400,000円を工程に投入し、直接材料費として仕掛品勘定に計上した。

借方
貸方

(2) 当月の加工費510,000円を仕掛品勘定に計上した。

借方
貸方

(3) 当月完成した製品の原価990,000円を、仕掛品勘定から製品勘定に振り替えた。

借方
貸方
【問3】仕掛品勘定を完成させなさい
問1・問2の金額を使って、仕掛品勘定(T字勘定)に記入します。色のついた欄に金額を記入してください。
仕 掛 品
借方貸方
前月繰越160,000製  品
材  料次月繰越
製造間接費
合計合計
📊 仕掛品勘定(解答)
借方貸方
前月繰越160,000製  品990,000
材  料400,000次月繰越80,000
製造間接費510,000
合計1,070,000合計1,070,000
仕掛品勘定の借方には、前月から繰り越された月初仕掛品原価(160,000円)と、当月新たに発生した材料費(400,000円)・加工費(510,000円)が集計されます。貸方には、完成して製品勘定へ振り替えられた完成品原価(990,000円)と、翌月に繰り越される月末仕掛品原価(80,000円)が記入され、借方合計と貸方合計はどちらも1,070,000円で一致します。