総合原価計算(工程別総合原価計算)

【工業簿記】工程別総合原価計算(第1工程:先入先出法/第2工程:平均法)
製品が複数の工程を順に通って完成する場合は、工程ごとに総合原価計算を行います(工程別総合原価計算)。第1工程の完成品は第2工程に引き渡され、その原価は第2工程では前工程費として扱います。前工程費は第2工程の始点で投入されると考えるため、第2工程では「材料費」と同じように、加工進捗度に関係なく100%の数量で計算します。
この問題では、第1工程を先入先出法、第2工程を平均法で計算します。工程ごとに評価方法が異なる点に注意しましょう。
【問1】第1工程の計算 →【問2】第2工程の計算 →【問3】仕訳 →【問4】仕掛品勘定の完成 の順に進めましょう。
【問1】第1工程(先入先出法)の完成品原価を求めなさい
【資料】第1工程月島製菓(A製品の量産)の×3年10月の資料です。原料は第1工程の始点で投入し、加工費は加工の進み具合に応じて発生する。第1工程の月初仕掛品・月末仕掛品の評価は先入先出法による。
  • 生産数量:月初仕掛品200個(加工進捗度40%)/当月投入800個/完成品750個/月末仕掛品250個(加工進捗度60%)
  • 月初仕掛品原価:材料費100,000円/加工費31,000円
  • 当月製造費用:材料費480,000円/加工費574,000円
色のついた欄に数量・金額を記入してください。
①材料費のボックス図(原料は始点投入のため、数量がそのまま材料費の換算量になります)。空欄の完成品数量を、差し引きで求めてください。
月初仕掛品
200個
(加工進捗度40%)
当月投入
800個
(=材料費の当月投入換算量)
完成品
個
月末仕掛品
250個
(加工進捗度60%)
②加工費のボックス図(加工費は「加工進捗度」を掛けた換算量で考えます)。完成品数量は①と同じ750個です。月初仕掛品換算量・月末仕掛品換算量を計算したうえで、先入先出法で分母となる「当月投入換算量」を、完成品から月初仕掛品換算量を差し引き、月末仕掛品換算量を加えて求めてください。
月初仕掛品換算量
個
当月投入換算量
個
完成品
750個
月末仕掛品換算量
個
①の「当月投入」(材料費換算量800個)と、②の「当月投入換算量」(加工費換算量820個)を使い、当月製造費用を割って単価を求めます(材料費@600円・加工費@700円)。この単価を使って月末仕掛品原価を計算し、第1工程の完成品原価と完成品単価を求めてください。
材料費加工費合計
月初仕掛品原価100,00031,000
当月製造費用480,000574,000
合計
材料費加工費合計
月末仕掛品原価
第1工程完成品原価--
第1工程完成品単価(@)--円
📊 第1工程(先入先出法)の解答
生産数量材料費換算量加工費換算量
月初仕掛品200個80個(200個×40%)
月末仕掛品250個150個(250個×60%)
当月投入換算量800個820個
材料費加工費合計
月初仕掛品原価100,00031,000131,000
当月製造費用480,000574,0001,054,000
合計580,000605,0001,185,000
(参考)当月投入分の単価@600円@700円-
月末仕掛品原価150,000105,000255,000
第1工程完成品原価--930,000
第1工程完成品単価--@1,240円
当月投入換算量(先入先出法)
材料費:750個-200個+250個=800個
加工費:750個-200個×40%+250個×60%=750-80+150=820個

当月投入分の単価:材料費 480,000円÷800個=@600円/加工費 574,000円÷820個=@700円

月末仕掛品原価:材料費 250個×600円=150,000円/加工費 150個×700円=105,000円(計255,000円)

第1工程完成品原価=131,000円+1,054,000円-255,000円=930,000円
第1工程完成品単価=930,000円÷750個=@1,240円
第1工程は先入先出法なので、月初仕掛品原価(131,000円)はそのまま完成品原価に含め、当月投入分の原価だけで単価を求めます。ここで求めた第1工程の完成品原価930,000円が、次の問2で第2工程の「当月の前工程費」になります。
【問2】第2工程(平均法)の完成品原価を求めなさい
【資料】第2工程第1工程の完成品750個は、すべて第2工程の始点に投入された(前工程費)。加工費は加工の進み具合に応じて発生する。第2工程の月初仕掛品・月末仕掛品の評価は平均法による。
  • 生産数量:月初仕掛品150個(加工進捗度50%)/当月受入750個(第1工程完成品)/完成品700個/月末仕掛品200個(加工進捗度50%)
  • 月初仕掛品原価:前工程費150,000円/加工費40,000円
  • 当月製造費用:前工程費=問1で求めた第1工程の完成品原価/加工費360,000円
色のついた欄に数量・金額を記入してください。
③前工程費のボックス図(前工程費は第2工程の始点で投入されるため、数量がそのまま前工程費の換算量になります)。空欄の完成品数量を、差し引きで求めてください。
月初仕掛品
150個
(加工進捗度50%)
当月受入
750個
完成品
個
月末仕掛品
200個
(加工進捗度50%)
平均法では、月初仕掛品と当月受入をまとめて考え、完成品+月末仕掛品(=700個+200個=900個)を前工程費の分母として使います。
④加工費のボックス図(「加工進捗度」を掛けた換算量で考えます)。完成品数量は③と同じ700個です。月初仕掛品換算量・月末仕掛品換算量を計算したうえで、「当月投入換算量」を差し引きで求めてください。
月初仕掛品換算量
個
当月投入換算量
個
完成品
700個
月末仕掛品換算量
個
ここが第1工程(先入先出法)との違いです。平均法では、月初仕掛品換算量(75個)や当月投入換算量(725個)は使わず、完成品(700個)+月末仕掛品換算量(100個)=800個をそのまま加工費の分母として使います。
③の分母(前工程費900個)と④の分母(加工費800個)を使い、月初仕掛品原価と当月製造費用の合計を割って、完成品・月末仕掛品に共通の単価を求めてください。当月の前工程費の欄には、問1で求めた第1工程の完成品原価を記入します。
前工程費加工費合計
月初仕掛品原価150,00040,000
当月製造費用360,000
合計
平均単価(@)円円-
前工程費加工費合計
月末仕掛品原価
第2工程完成品原価
第2工程完成品単価(@)--円
📊 第2工程(平均法)の解答
生産数量前工程費換算量加工費換算量
月初仕掛品150個75個(150個×50%)
当月受入(投入)750個725個(差引)
完成品700個700個
月末仕掛品200個100個(200個×50%)
分母(平均法で使う数量)900個800個
前工程費加工費合計
月初仕掛品原価150,00040,000190,000
当月製造費用930,000360,0001,290,000
合計1,080,000400,0001,480,000
平均単価@1,200円@500円-
月末仕掛品原価240,00050,000290,000
第2工程完成品原価840,000350,0001,190,000
第2工程完成品単価--@1,700円
加工費の換算量
月初仕掛品換算量:150個×50%=75個/月末仕掛品換算量:200個×50%=100個
当月投入換算量(差引):700個+100個-75個=725個(平均法ではこの数値は使いません)

平均法で使う分母
前工程費:700個+200個=900個(前工程費は始点投入のため100%)
加工費:700個+100個=800個

平均単価
前工程費:(150,000円+930,000円)÷900個=@1,200円
加工費:(40,000円+360,000円)÷800個=@500円

月末仕掛品原価
前工程費:200個×1,200円=240,000円/加工費:100個×500円=50,000円(計290,000円)

第2工程完成品原価(合計-月末仕掛品原価)
前工程費:1,080,000円-240,000円=840,000円/加工費:400,000円-50,000円=350,000円
合計=1,190,000円
第2工程完成品単価=1,190,000円÷700個=@1,700円(=前工程費1,200円+加工費500円)
工程別総合原価計算のポイントは、第1工程の完成品原価(930,000円)を、第2工程では「当月の前工程費」として受け入れることです。第2工程は平均法なので、月初仕掛品の前工程費(150,000円)と当月受入の前工程費(930,000円)を合算して、1つの分母(900個)で割ります。第1工程が先入先出法かどうかは第2工程の計算には影響せず、第2工程では第1工程から受け入れた930,000円をそのまま使います。
【問3】仕訳を答えなさい
問1・問2で計算した金額をもとに、各工程の原価の計上と振り替えを仕訳で確認します。

(1) 当月、第1工程でA原料480,000円を投入し、第1工程仕掛品勘定に計上した。

借方
貸方

(2) 当月、第1工程の加工費574,000円を第1工程仕掛品勘定に計上した。

借方
貸方

(3) 第1工程の完成品原価930,000円を、第2工程仕掛品勘定に振り替えた。

借方
貸方

(4) 当月、第2工程の加工費360,000円を第2工程仕掛品勘定に計上した。

借方
貸方

(5) 第2工程の完成品原価1,190,000円を、製品勘定に振り替えた。

借方
貸方
【問4】第1工程仕掛品勘定と第2工程仕掛品勘定を完成させなさい
問1〜問3の金額を使って、2つの仕掛品勘定(T字勘定)に記入します。色のついた欄に金額を記入してください。
第 1 工 程 仕 掛 品
借方貸方
前月繰越131,000第2工程仕掛品
材  料次月繰越
製造間接費
合計合計
第 2 工 程 仕 掛 品
借方貸方
前月繰越190,000製  品
第1工程仕掛品次月繰越
製造間接費
合計合計
📊 第1工程仕掛品勘定(解答)
借方貸方
前月繰越131,000第2工程仕掛品930,000
材  料480,000次月繰越255,000
製造間接費574,000
合計1,185,000合計1,185,000
📊 第2工程仕掛品勘定(解答)
借方貸方
前月繰越190,000製  品1,190,000
第1工程仕掛品930,000次月繰越290,000
製造間接費360,000
合計1,480,000合計1,480,000
第1工程仕掛品勘定の貸方「第2工程仕掛品 930,000円」と、第2工程仕掛品勘定の借方「第1工程仕掛品 930,000円」は、同じ取引(第1工程の完成品の引き渡し)を両側から記録したものなので、必ず同額で一致します。第2工程で完成した1,190,000円が製品勘定へ振り替えられ、これが最終的な完成品原価になります。