【工業簿記】総合原価計算(仕損品に評価額がある場合・平均法)
製造の途中でやむを得ず発生する正常仕損で、できあがった仕損品に、売却や再利用ができる価値(評価額・処分価額)がある場合は、その評価額だけ、製造にかかった原価から差し引いて考えます。この問題では、評価額を材料費から控除するものとして計算します。評価額を差し引くタイミングは、正常仕損費を誰が負担するかで変わります。
正常仕損費を誰が負担するかは、仕損の発生点と、月末仕掛品の加工進捗度の関係で決まります。発生点が月末仕掛品の進捗度より後なら完成品のみ負担、発生点が月末仕掛品の進捗度より前なら、月末仕掛品も通過しているので両者負担です。計算は、仕損品の数量を計算上無視する度外視法で、平均法により行います。
【問1】数量の整理 →【問2】完成品のみ負担 →【問3】両者負担 →【問4】仕訳 →【問5】仕掛品勘定 の順に進めましょう。
製造の途中でやむを得ず発生する正常仕損で、できあがった仕損品に、売却や再利用ができる価値(評価額・処分価額)がある場合は、その評価額だけ、製造にかかった原価から差し引いて考えます。この問題では、評価額を材料費から控除するものとして計算します。評価額を差し引くタイミングは、正常仕損費を誰が負担するかで変わります。
正常仕損費を誰が負担するかは、仕損の発生点と、月末仕掛品の加工進捗度の関係で決まります。発生点が月末仕掛品の進捗度より後なら完成品のみ負担、発生点が月末仕掛品の進捗度より前なら、月末仕掛品も通過しているので両者負担です。計算は、仕損品の数量を計算上無視する度外視法で、平均法により行います。
【問1】数量の整理 →【問2】完成品のみ負担 →【問3】両者負担 →【問4】仕訳 →【問5】仕掛品勘定 の順に進めましょう。
【問1】生産数量を整理しなさい
【資料】月島製菓(A製品の量産)の×3年10月の資料です。原料は工程の始点で投入し、加工費は加工の進み具合に応じて発生する。月初仕掛品・月末仕掛品の評価は平均法による。正常仕損品には、評価額10,000円(50個分)がある。この評価額は、材料費から控除する。
- 生産数量:月初仕掛品200個(加工進捗度50%)/当月投入800個/完成品750個/正常仕損品50個/月末仕掛品200個(加工進捗度50%)
- 月初仕掛品原価:材料費100,000円/加工費35,500円
- 当月製造費用:材料費480,000円/加工費500,000円
色のついた欄に数量・金額を記入してください。
材料費のボックス図(原料は始点投入のため、仕損品も含めて数量がそのまま材料費の換算量になります)。空欄の完成品数量を、差し引きで求めてください。
月初仕掛品
200個
(加工進捗度50%)
当月投入
800個
完成品
個
正常仕損品
50個
月末仕掛品
200個
(加工進捗度50%)
📊 数量の整理(解答)
完成品=月初仕掛品200個+当月投入800個-正常仕損品50個-月末仕掛品200個=750個
仕損品を含めて、数量の合計(1,000個)が左右で一致することを確認します。仕損品に評価額があっても、数量の整理は同じです。評価額は、次の問2・問3で、原価の計算に使います。
【問2】仕損が工程の終点で発生した(完成品のみ負担)として、完成品原価を求めなさい
【条件】正常仕損は工程の終点(加工進捗度100%)で発生した。月末仕掛品(進捗度50%)は、仕損が発生する終点に達していないため、正常仕損費は完成品のみに負担させる。仕損品を「完成品の仲間」として、分母に含めて計算する。仕損品の評価額は、仕損費を負担する完成品の原価から差し引く(単価の計算では控除しない)。
色のついた欄に数量・金額を記入してください。
分母(換算量)の計算
材料費の分母(完成品+仕損品+月末仕掛品)
完成品
750個
+
正常仕損品
50個
+
月末仕掛品
200個
=
材料費の分母
個
加工費の分母(完成品+仕損品の換算量+月末仕掛品の換算量)
完成品
750個
+
正常仕損換算量
個
+
月末仕掛品換算量
個
=
加工費の分母
個
月初仕掛品原価と当月製造費用の合計を、分母で割って単価を求めます。この段階では、仕損品の評価額は差し引きません。評価額は、完成品原価を求めるときに、完成品の原価から差し引きます。
| 材料費 | 加工費 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 月初仕掛品原価 | 100,000 | 35,500 | |
| 当月製造費用 | 480,000 | 500,000 | |
| 合計 | |||
| 平均単価(@) | 円 | 円 | - |
月末仕掛品原価を求め、合計から月末仕掛品原価と仕損品の評価額(材料費から控除)を差し引いて、完成品原価を求めます。
| 材料費 | 加工費 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 月末仕掛品原価 | |||
| 仕損品の評価額 | 10,000 | - | 10,000 |
| 完成品原価 | |||
| 完成品単価(@) | - | - | 円 |
📊 完成品のみ負担の場合(解答)
| 材料費 | 加工費 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 分母 | 1,000個 | 900個 | - |
| 月初仕掛品原価 | 100,000 | 35,500 | 135,500 |
| 当月製造費用 | 480,000 | 500,000 | 980,000 |
| 合計 | 580,000 | 535,500 | 1,115,500 |
| 平均単価 | @580円 | @595円 | - |
| 月末仕掛品原価 | 116,000 | 59,500 | 175,500 |
| 仕損品の評価額 | △10,000 | - | △10,000 |
| 完成品原価 | 454,000 | 476,000 | 930,000 |
| 完成品単価 | - | - | @1,240円 |
分母:材料費 750個+50個+200個=1,000個/加工費 750個+50個×100%+200個×50%=750+50+100=900個
平均単価(評価額は差し引かない):材料費 580,000円÷1,000個=@580円/加工費 535,500円÷900個=@595円
月末仕掛品原価:材料費 200個×580円=116,000円/加工費 100個×595円=59,500円(計175,500円)
完成品原価=合計1,115,500円-月末仕掛品原価175,500円-仕損品の評価額10,000円=930,000円
(材料費:580,000円-116,000円-10,000円=454,000円/加工費:535,500円-59,500円=476,000円)
完成品単価=930,000円÷750個=@1,240円
(検算)良品750個×(580円+595円)=881,250円、正常仕損費 50個×1,175円-評価額10,000円=48,750円 → 合計930,000円
平均単価(評価額は差し引かない):材料費 580,000円÷1,000個=@580円/加工費 535,500円÷900個=@595円
月末仕掛品原価:材料費 200個×580円=116,000円/加工費 100個×595円=59,500円(計175,500円)
完成品原価=合計1,115,500円-月末仕掛品原価175,500円-仕損品の評価額10,000円=930,000円
(材料費:580,000円-116,000円-10,000円=454,000円/加工費:535,500円-59,500円=476,000円)
完成品単価=930,000円÷750個=@1,240円
(検算)良品750個×(580円+595円)=881,250円、正常仕損費 50個×1,175円-評価額10,000円=48,750円 → 合計930,000円
完成品のみ負担のポイントは、①仕損品の数量・換算量を分母に含めること、②仕損品の評価額を、完成品の原価から差し引くことです。月末仕掛品は正常仕損費を負担しないため、単価は評価額を差し引く前の金額で計算し、月末仕掛品は通常どおり(単価×数量)で評価します。評価額によって減る正常仕損費は、仕損費を負担している完成品の原価だけに反映されます。
【問3】仕損が工程の途中で発生した(両者負担)として、完成品原価を求めなさい
【条件】問2と同じ生産データ・原価データで、正常仕損は加工進捗度30%の時点で発生した。月初仕掛品(進捗度50%)・月末仕掛品(進捗度50%)とも、仕損の発生点を通過しているため、正常仕損費は完成品と月末仕掛品の両方に負担させる。仕損品の数量は、計算上無視(分母に含めない)する。仕損品の評価額10,000円は、正常仕損費を両者が負担するため、先に材料費から差し引いてから、単価を求める。
色のついた欄に数量・金額を記入してください。
分母(換算量)の計算
材料費の分母(完成品+月末仕掛品。仕損品は含めない)
完成品
750個
+
月末仕掛品
200個
=
材料費の分母
個
正常仕損品
50個
(含めない)
加工費の分母(完成品+月末仕掛品の換算量。仕損品は含めない)
完成品
750個
+
月末仕掛品換算量
個
=
加工費の分母
個
正常仕損品
50個
(含めない)
| 材料費 | 加工費 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 月初仕掛品原価 | 100,000 | 35,500 | |
| 当月製造費用 | 480,000 | 500,000 | |
| 仕損品の評価額 | △10,000 | - | △10,000 |
| 差引合計 | |||
| 平均単価(@) | 円 | 円 | - |
| 材料費 | 加工費 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 月末仕掛品原価 | |||
| 完成品原価 | |||
| 完成品単価(@) | - | - | 円 |
📊 両者負担の場合(解答)
| 材料費 | 加工費 | 合計 | |
|---|---|---|---|
| 分母 | 950個 | 850個 | - |
| 合計(評価額10,000円を材料費から控除後) | 570,000 | 535,500 | 1,105,500 |
| 平均単価 | @600円 | @630円 | - |
| 月末仕掛品原価 | 120,000 | 63,000 | 183,000 |
| 完成品原価 | 450,000 | 472,500 | 922,500 |
| 完成品単価 | - | - | @1,230円 |
分母(仕損品を含めない):材料費 750個+200個=950個/加工費 750個+200個×50%=750+100=850個
評価額の控除:材料費 580,000円-10,000円=570,000円(先に控除してから単価を求める)
平均単価:材料費 570,000円÷950個=@600円/加工費 535,500円÷850個=@630円
月末仕掛品原価:材料費 200個×600円=120,000円/加工費 100個×630円=63,000円(計183,000円)
完成品原価(評価額控除後の合計-月末仕掛品原価):材料費 570,000円-120,000円=450,000円/加工費 535,500円-63,000円=472,500円(計922,500円)
完成品単価=922,500円÷750個=@1,230円(=材料費600円+加工費630円)
評価額の控除:材料費 580,000円-10,000円=570,000円(先に控除してから単価を求める)
平均単価:材料費 570,000円÷950個=@600円/加工費 535,500円÷850個=@630円
月末仕掛品原価:材料費 200個×600円=120,000円/加工費 100個×630円=63,000円(計183,000円)
完成品原価(評価額控除後の合計-月末仕掛品原価):材料費 570,000円-120,000円=450,000円/加工費 535,500円-63,000円=472,500円(計922,500円)
完成品単価=922,500円÷750個=@1,230円(=材料費600円+加工費630円)
両者負担のポイントは、①仕損品の数量を分母から除くこと、②仕損品の評価額を、単価を求める前に、材料費から差し引くことです。仕損費を完成品と月末仕掛品の両方が負担するため、評価額による原価の減少も、単価に反映させて、両者に及ぼします(問2の@580円・@595円に対して、問3は@600円・@630円です。分母が小さくなって単価が高くなる一方、評価額の分だけ材料費の単価は低くなっています)。同じ生産データでも、完成品原価は、完成品のみ負担のとき930,000円、両者負担のとき922,500円です。月末仕掛品原価は、175,500円から183,000円に増えます。
【まとめ】評価額を差し引く場所:完成品のみ負担→完成品原価から/両者負担→単価を求める前(材料費)から。
【まとめ】評価額を差し引く場所:完成品のみ負担→完成品原価から/両者負担→単価を求める前(材料費)から。
【問4】仕訳を答えなさい
問1〜問3で計算した金額をもとに、原価の計上、仕損品の評価額の振り替え、完成品原価の振り替えを仕訳で確認します。
(1) 当月、A原料480,000円を工程に投入し、直接材料費として仕掛品勘定に計上した。
借方
貸方
(2) 当月の加工費500,000円を仕掛品勘定に計上した。
借方
貸方
(3) 正常仕損が発生し、仕損品(評価額10,000円)を仕掛品勘定から仕損品勘定に振り替えた。
借方
貸方
(4) 【完成品のみ負担の場合】当月完成した製品の原価930,000円を、仕掛品勘定から製品勘定に振り替えた。
借方
貸方
(5) 【両者負担の場合】当月完成した製品の原価922,500円を、仕掛品勘定から製品勘定に振り替えた。
借方
貸方
【問5】仕掛品勘定を完成させなさい
問1〜問4の金額を使って、完成品のみ負担の場合と、両者負担の場合の、仕掛品勘定(T字勘定)に記入します。仕損品の評価額は、貸方に「仕損品」として記入します。色のついた欄に金額を記入してください。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 前月繰越 | 135,500 | 仕 損 品 | |
| 材 料 | 製 品 | ||
| 製造間接費 | 次月繰越 | ||
| 合計 | 合計 | ||
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 前月繰越 | 135,500 | 仕 損 品 | |
| 材 料 | 製 品 | ||
| 製造間接費 | 次月繰越 | ||
| 合計 | 合計 | ||
📊 仕掛品勘定(完成品のみ負担)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 前月繰越 | 135,500 | 仕損品 | 10,000 |
| 材 料 | 480,000 | 製 品 | 930,000 |
| 製造間接費 | 500,000 | 次月繰越 | 175,500 |
| 合計 | 1,115,500 | 合計 | 1,115,500 |
📊 仕掛品勘定(両者負担)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 前月繰越 | 135,500 | 仕損品 | 10,000 |
| 材 料 | 480,000 | 製 品 | 922,500 |
| 製造間接費 | 500,000 | 次月繰越 | 183,000 |
| 合計 | 1,115,500 | 合計 | 1,115,500 |
借方は、どちらの場合も同じ(月初仕掛品原価135,500円+当月の材料費480,000円+加工費500,000円=1,115,500円)です。貸方は、仕損品の評価額10,000円を先に仕損品勘定へ振り替え、残りを完成品原価(製品)と月末仕掛品原価(次月繰越)に配分します。負担のしかたによって、製品と次月繰越の金額の分け方だけが変わり、貸借の合計は変わりません。