総合原価計算(組別総合原価計算)

【工業簿記】組別総合原価計算
同じ工程で、種類の異なる製品(A組製品・B組製品など)を同時に生産する場合に、製品の種類(組)ごとに原価を計算する方法を組別総合原価計算といいます。
各組に直接結びつけられる原価(直接材料費・直接労務費)は組直接費として各組に賦課し、各組に共通して発生する製造間接費は組間接費として、直接作業時間などの基準で各組に配賦します。そのうえで、組ごとに総合原価計算(この問題ではA組・B組とも平均法)を行います。
【問1】組間接費の配賦と各組の加工費 →【問2】A組の計算 →【問3】B組の計算 →【問4】仕訳 →【問5】仕掛品勘定の完成 の順に進めましょう。
【問1】組間接費を各組に配賦し、各組の当月加工費を求めなさい
【資料】月島製菓では、A組製品とB組製品を同一の工程で生産している。製造間接費は直接作業時間を基準として各組に配賦する。
  • 直接材料費(組直接費):A組400,000円/B組225,000円
  • 直接労務費(組直接費):A組150,000円/B組80,000円
  • 製造間接費(組間接費):当月600,000円
  • 直接作業時間:A組1,200時間/B組800時間
  • 各組の加工費は、直接労務費と製造間接費の配賦額の合計とする(直接材料費は加工費に含めない)。
【整理】原価の分類と処理 各組に直接結びつけられる原価は組直接費として各組に賦課し、各組に共通して発生する原価は組間接費として各組に配賦します。配賦するのは製造間接費だけです。
原価分類各組への割り当て
直接材料費組直接費各組に賦課(そのまま計上)
直接労務費組直接費各組に賦課(そのまま計上)
製造間接費組間接費直接作業時間で各組に配賦
色のついた欄に金額を記入してください。まず①で組間接費を配賦し、②で各組の加工費を求めます。
①組間接費(製造間接費)の配賦
配賦率(製造間接費600,000円÷合計作業時間2,000時間)
@円/時間
直接作業時間製造間接費の配賦額
A組1,200時間
B組800時間
合計2,000時間600,000
②各組の当月加工費(加工費=直接労務費+①で求めた配賦額)
直接労務費
(組直接費・賦課)
製造間接費の配賦額
(組間接費・①の金額)
当月加工費
A組150,000①のA組の金額
B組80,000①のB組の金額
📊 ①組間接費の配賦(解答)
直接作業時間配賦額
A組1,200時間360,000
B組800時間240,000
合計2,000時間600,000
配賦率=600,000円÷(1,200時間+800時間)=@300円/時間
A組への配賦額=1,200時間×300円=360,000円
B組への配賦額=800時間×300円=240,000円
📊 ②各組の当月加工費(解答)
直接労務費(賦課)配賦額(①)当月加工費
A組150,000360,000510,000
B組80,000240,000320,000
A組の当月加工費=150,000円+360,000円=510,000円
B組の当月加工費=80,000円+240,000円=320,000円
配賦するのは製造間接費(組間接費)だけです。直接材料費と直接労務費は組直接費なので、配賦計算はせず、各組にそのまま賦課します。ここで「加工費」とは、材料費以外の原価のことです。各組の加工費は、直接労務費(賦課)と製造間接費の配賦額を合計して求めます(直接材料費は加工費に含めず、問2・問3で材料費として別に扱います)。ここで求めた各組の当月加工費を使って、問2・問3で組ごとの総合原価計算を行います。
【問2】A組(平均法)の完成品原価を求めなさい
【資料】A組製品の×3年11月の資料です。原料は工程の始点で投入し、加工費は加工の進み具合に応じて発生する。月初仕掛品・月末仕掛品の評価は平均法による。
  • 生産数量:月初仕掛品200個(加工進捗度50%)/当月投入800個/完成品900個/月末仕掛品100個(加工進捗度50%)
  • 月初仕掛品原価:材料費100,000円/加工費60,000円
  • 当月製造費用:直接材料費400,000円/加工費=問1で求めたA組の当月加工費
色のついた欄に数量・金額を記入してください。
①材料費のボックス図(原料は始点投入のため、数量がそのまま材料費の換算量になります)。空欄の完成品数量を、差し引きで求めてください。
月初仕掛品
200個
(加工進捗度50%)
当月投入
800個
完成品
個
月末仕掛品
100個
(加工進捗度50%)
平均法では、月初仕掛品と当月投入をまとめて考え、完成品+月末仕掛品(=900個+100個=1,000個)を材料費の分母として使います。
②加工費のボックス図(「加工進捗度」を掛けた換算量で考えます)。完成品数量は①と同じ900個です。月初仕掛品換算量・月末仕掛品換算量を計算したうえで、「当月投入換算量」を差し引きで求めてください。
月初仕掛品換算量
個
当月投入換算量
個
完成品
900個
月末仕掛品換算量
個
平均法では、月初仕掛品換算量(100個)や当月投入換算量(850個)は使わず、完成品(900個)+月末仕掛品換算量(50個)=950個を加工費の分母として使います。
材料費の分母(1,000個)と加工費の分母(950個)を使い、月初仕掛品原価と当月製造費用の合計を割って単価を求めてください。当月の加工費の欄には、問1で求めたA組の当月加工費を記入します。
材料費加工費合計
月初仕掛品原価100,00060,000
当月製造費用400,000
合計
平均単価(@)円円-
材料費加工費合計
月末仕掛品原価
A組完成品原価
A組完成品単価(@)--円
📊 A組(平均法)の解答
生産数量材料費換算量加工費換算量
月初仕掛品200個100個(200個×50%)
当月投入800個850個(差引)
完成品900個900個
月末仕掛品100個50個(100個×50%)
分母(平均法で使う数量)1,000個950個
材料費加工費合計
月初仕掛品原価100,00060,000160,000
当月製造費用400,000510,000910,000
合計500,000570,0001,070,000
平均単価@500円@600円-
月末仕掛品原価50,00030,00080,000
A組完成品原価450,000540,000990,000
A組完成品単価--@1,100円
換算量:月初仕掛品 200個×50%=100個/月末仕掛品 100個×50%=50個
当月投入換算量(差引):900個+50個-100個=850個(平均法では使いません)

平均法で使う分母:材料費 900個+100個=1,000個/加工費 900個+50個=950個

平均単価
材料費:(100,000円+400,000円)÷1,000個=@500円
加工費:(60,000円+510,000円)÷950個=@600円

月末仕掛品原価:材料費 100個×500円=50,000円/加工費 50個×600円=30,000円(計80,000円)

A組完成品原価(合計-月末仕掛品原価)
材料費:500,000円-50,000円=450,000円/加工費:570,000円-30,000円=540,000円
合計=990,000円
A組完成品単価=990,000円÷900個=@1,100円(=材料費500円+加工費600円)
A組は平均法なので、月初仕掛品原価と当月製造費用を合算し、1つの分母で割って、完成品と月末仕掛品に共通の単価を使います。当月の加工費(510,000円)は、A組の直接労務費と、問1で配賦された製造間接費の合計です。
【問3】B組(平均法)の完成品原価を求めなさい
【資料】B組製品の×3年11月の資料です。原料は工程の始点で投入し、加工費は加工の進み具合に応じて発生する。月初仕掛品・月末仕掛品の評価は平均法による。
  • 生産数量:月初仕掛品100個(加工進捗度50%)/当月投入500個/完成品450個/月末仕掛品150個(加工進捗度40%)
  • 月初仕掛品原価:材料費45,000円/加工費37,000円
  • 当月製造費用:直接材料費225,000円/加工費=問1で求めたB組の当月加工費
色のついた欄に数量・金額を記入してください。
③材料費のボックス図(原料は始点投入のため、数量がそのまま材料費の換算量になります)。空欄の完成品数量を、差し引きで求めてください。
月初仕掛品
100個
(加工進捗度50%)
当月投入
500個
完成品
個
月末仕掛品
150個
(加工進捗度40%)
平均法では、月初仕掛品と当月投入をまとめて考え、完成品+月末仕掛品(=450個+150個=600個)を材料費の分母として使います。
④加工費のボックス図(「加工進捗度」を掛けた換算量で考えます)。完成品数量は③と同じ450個です。月初仕掛品換算量・月末仕掛品換算量を計算したうえで、「当月投入換算量」を差し引きで求めてください。
月初仕掛品換算量
個
当月投入換算量
個
完成品
450個
月末仕掛品換算量
個
平均法では、月初仕掛品換算量(50個)や当月投入換算量(460個)は使わず、完成品(450個)+月末仕掛品換算量(60個)=510個を加工費の分母として使います。
材料費の分母(600個)と加工費の分母(510個)を使い、月初仕掛品原価と当月製造費用の合計を割って単価を求めてください。当月の加工費の欄には、問1で求めたB組の当月加工費を記入します。
材料費加工費合計
月初仕掛品原価45,00037,000
当月製造費用225,000
合計
平均単価(@)円円-
材料費加工費合計
月末仕掛品原価
B組完成品原価
B組完成品単価(@)--円
📊 B組(平均法)の解答
生産数量材料費換算量加工費換算量
月初仕掛品100個50個(100個×50%)
当月投入500個460個(差引)
完成品450個450個
月末仕掛品150個60個(150個×40%)
分母(平均法で使う数量)600個510個
材料費加工費合計
月初仕掛品原価45,00037,00082,000
当月製造費用225,000320,000545,000
合計270,000357,000627,000
平均単価@450円@700円-
月末仕掛品原価67,50042,000109,500
B組完成品原価202,500315,000517,500
B組完成品単価--@1,150円
換算量:月初仕掛品 100個×50%=50個/月末仕掛品 150個×40%=60個
当月投入換算量(差引):450個+60個-50個=460個(平均法では使いません)

平均法で使う分母:材料費 450個+150個=600個/加工費 450個+60個=510個

平均単価
材料費:(45,000円+225,000円)÷600個=@450円
加工費:(37,000円+320,000円)÷510個=@700円

月末仕掛品原価:材料費 150個×450円=67,500円/加工費 60個×700円=42,000円(計109,500円)

B組完成品原価(合計-月末仕掛品原価)
材料費:270,000円-67,500円=202,500円/加工費:357,000円-42,000円=315,000円
合計=517,500円
B組完成品単価=517,500円÷450個=@1,150円(=材料費450円+加工費700円)
B組は平均法なので、月初仕掛品原価と当月製造費用を合算し、1つの分母で割って、完成品と月末仕掛品に共通の単価を使います。当月の加工費(320,000円)は、B組の直接労務費と、問1で配賦された製造間接費の合計です。
【問4】仕訳を答えなさい
組直接費の賦課、組間接費の配賦、完成品の振り替えを仕訳で確認します。複数の勘定科目を使う仕訳は、借方・貸方の欄をすべて使って答えてください。

(1) 当月、A組の直接材料費400,000円とB組の直接材料費225,000円を消費した。

借方
貸方

(2) 当月、A組の直接労務費150,000円とB組の直接労務費80,000円を消費した。

借方
貸方

(3) 製造間接費600,000円を、直接作業時間を基準としてA組・B組に配賦した。

借方
貸方

(4) 当月、A組の完成品原価990,000円とB組の完成品原価517,500円を、仕掛品勘定から製品勘定に振り替えた。

借方
貸方
【問5】A組仕掛品勘定とB組仕掛品勘定を完成させなさい
問1〜問4の金額を使って、組ごとの仕掛品勘定(T字勘定)に記入します。色のついた欄に金額を記入してください。
A 組 仕 掛 品
借方貸方
前月繰越160,000製  品
材  料次月繰越
賃  金
製造間接費
合計合計
B 組 仕 掛 品
借方貸方
前月繰越82,000製  品
材  料次月繰越
賃  金
製造間接費
合計合計
📊 A組仕掛品勘定(解答)
借方貸方
前月繰越160,000製  品990,000
材  料400,000次月繰越80,000
賃  金150,000
製造間接費360,000
合計1,070,000合計1,070,000
📊 B組仕掛品勘定(解答)
借方貸方
前月繰越82,000製  品517,500
材  料225,000次月繰越109,500
賃  金80,000
製造間接費240,000
合計627,000合計627,000
組別総合原価計算では、組ごとに仕掛品勘定を設けます。直接材料費(材料)と直接労務費(賃金)は各組に賦課し、製造間接費は問1で求めた配賦額を各組の借方に計上します。A組・B組の前月繰越(月初仕掛品原価)はそれぞれ160,000円・82,000円、完成品原価はそれぞれ990,000円・517,500円で、2つの組の完成品原価の合計1,507,500円が製品勘定へ振り替えられます。